【タクシー】JPNタクシーのライバルはシエンタ?

2020年9月29日

いつもご覧くださりありがとうございます。溝口将太です。

Twitter上にベストカーが興味深い記事を発信していました。

「シエンタ」が「JPNタクシー」のライバルになるという面白い内容なのですが、「JPNタクシー」で乗務していた私にも思い当たる節が大いにある記事でした。

今回はなぜ「シエンタ」がタクシー車両として注目をされているのかをまとめてみました。「JPNタクシー」では何がダメなのでしょうか。



現実的には乗車拒否が多発

今では東京都内を走るタクシーと言えば「JPNタクシー」がほとんどの割合を占めるようになりましたが、一方で障害者団体「DPI日本会議」が公表した2019年10月の調査結果によると、調査に参加した120名の車いす利用者が乗車拒否に遭った割合は約4分の1(流しタクシーの素通り含む)だったそうです。

10月30日にあった調査には、電動や手動の車いすを使う東京、大阪、愛知、福岡など21都道府県でのべ120人が参加。街中での流し、駅などのタクシー乗り場、電話・アプリによる配車予約の3通りで調べた。

それによると、乗車を拒否されたのは全体の27%にあたる32件。拒否された割合を乗り方別にみると、流しが20%(25件中5件)、タクシー乗り場が24%(37件中9件)だったのに対し、配車予約では31%(58件中18件)と高かった。地域別では、東京都の乗車拒否の割合は21%とその他の地域(29%)より低かった。

引用:朝日新聞

「JPNタクシー」は車いすのお客様が車いすから降りることなく乗車できる「ユニバーサルデザイン(UD)」が採用されたクルマですが、実際に現場では車いす利用のお客様を敬遠してしまうことになりました。

上記はあくまで120名による調査結果とありますが、実際には数えきれないほどの乗車拒否が発生していたと言われています。

それこそ車いすの方を見かけたら進路変更を行う空車タクシーも珍しくはないのです。


とにかく対応が大変

タクシー側を100%の擁護をするつもりはありません。私も複数回「JPNタクシー」で車いす対応を行いましたが、コレがまた大変でした。

語弊を恐れず言ってしまうとぶっちゃけ割に合いません。

もちろん公共交通機関の使命として乗車拒否などはしませんでしたが、「タクシーになんでもかんでもやらせすぎではないか?」と甚だ疑問を感じていました。

高齢の乗務員が高齢者の車いす対応を行っている場面を見ると「違うんじゃない?」と感じたものです。

映像出典:トヨタ自動車

私が乗務していた「JPNタクシー」は初期のモデルでしたが、私で車いす対応に要する時間が準備含めて乗車に約15分、降車に約5分、後片付けに約5分でした。

つまり乗車時約15分、降車時に約10分はその場で足止めになってしまうのです。

広い道や車寄せならまだしも、交通の妨げになってしまう場面ではある意味生きた心地がしませんでした。

映像出典:トヨタ自動車

最近は乗降の手間も改良されていますが、これはタクシー側からの「現実的ではない」という声はありました。

特に障害者団体からの強い要望に応えるという形でしたが根本的な解決とは言い難く、これはタクシー側も考えなればならないのですが、乗務員一人毎に年に1度あるかないかの車いす対応、手順をいつまでも覚えておくことができないのです。

本気で対応に取り組むのであれば定期的な講習会を設ける必要があります。「ユニバーサルデザイン」に対応しているタクシーを運行する以上は決して避けられない課題なのです。

こういった背景もあり、現場では車いす利用者を敬遠してしまう傾向が今でも強いのです。



5人乗りのシエンタが登場

そのような状況下でタクシー事業者が目を付けたのが「5人乗りのシエンタ」です。

「シエンタ」はコンパクトカークラスに7人乗りというパッケージで人気のモデルですが、反面ラゲッジスペースが3列目のシートでほとんどが埋め尽くされているので難ありでした。

画像左が5人乗り、右が7人乗り  画像出典:トヨタ自動車

5人乗りと7人乗りを比較するとラゲッジスペースの差は一目瞭然です。5人乗り仕様では車いすは畳めばラゲッジスペースに収まりそうです。

「シエンタ」の5人乗りは「ホンダ フリード」に対抗する形で2018年9月のマイナーチェンジを機に5人乗りグレード『FUNBASE』として登場しました。

タクシーとして使用されているグレードは事業者によって異なると思いますが、『FUNBASE G ハイブリッド 2WD』が多いのではないでしょうか。


UDに対応して「いない」シエンタ

こちらは先日の私のツイートですが、「ユニバーサルデザイン」に対応していないということは、車いすのまま車内に乗車させなくてもいいということです。

乗車拒否は絶対ダメですが、車いすの方が利用する際は一度車いすから降りて頂き、時にはお連れの方のサポートで車内に乗車するようになります。

なお、感染症対策のため過度に触れることは推奨できませんが、乗務員が積極的にサポートをしてあげる姿勢も大切です。車いすをラゲッジスペースに運ぶくらいはしてあげてください。

2列シート仕様のハイブリッドモデルを購入し、LPガスも燃料として使えるように改造し、ガソリンも使えるバイフューエル仕様に改造しても、JPNタクシーを導入するより安くあがる

引用:ベストカー

自治体からの補助金対象車でもある「JPNタクシー」よりさらに安くなるのなら、事業者が「シエンタ」を選ぶのも当然の理由です。そしてLPガスを燃料として使えるように改造すればその差はさらに拡がります。




「魔改造」の実績はある

画像出典:日本交通 

「プリウス」にLPガスタンクを増設した『トリプルハイブリッド』が登場しています。

ガソリン×LPガス×電気で走行します。

私から見たら『魔改造』です。「シエンタ」にも同様にラゲッジスペースの真下にLPガスタンクを増設することができるのでしょう。

ただしこの『魔改造』がトヨタが主体なのかタクシー事業者側が主体なのかはわかりません。タクシー事業者が主体だとしたら保証の問題もあるはずです。

実際に魔改造初期の頃は燃料噴射系のトラブルが多かったと記憶しています。

具体的にはエンジンルーム内上部に増設されたLPガス用のチューブを取り外して詰まりを取り除く…ような作業が多く発生していました。

ガソリンは発進時、急加速時など限定された条件下での使用です。基本巡行はLPガス×電気(エンジン×モーター)で可能な限り燃料コストを抑えています。

LPガスの単価は一般的なレギュラーガソリンの約半額程度です。

実は私、この仕様の「プリウスα」にも乗務していましたが、後方下部にLPガスタンクを増設することにより一般道や高速道路走行時の直進安定性は向上しました。

しかしカーブや右左折時はリア応答性の遅れが誰にでもわかるレベルで発生していました。

「シエンタ」も同じ現象が発生すると思いますが、それでも「JPNタクシー」より走行性能は上だと思います。

ベースは同じだとしても、コスト重視のタクシーとして開発された「JPNタクシー」と走行性能重視の一般車として開発された「シエンタ」との違いがあるからです。

友人の「7人乗りシエンタ」をたまに運転しますが、「JPNタクシー」より遥かに運転しやすいです。



まとめ

「JPNタクシー」を選ぶのか「シエンタ・タクシー」を選ぶのかを利用者に委ねることになります。

「ユニバーサルデザインを採用し、車いすに乗ったまま乗降できるJPNタクシーは、車いすを使われているひととの間での乗車拒否などのクレーム(乗務員が車いす乗降のためのスロープ設置を面倒くさがったり、その設置に時間がかかるなどが理由)が多く、時おりメディアでもその様子が取り上げられることがあります」

と語る。さらに、

「しかしユニバーサルデザイン対応していないシエンタでは、そのようなクレームを心配する必要がないとの理由でシエンタタクシーを積極採用するといった動きもあるようです」

と語ってくれた。

「シエンタにそのままタクシー仕様を設ければよかった」、このような声もタクシー業界内では聞かれるようになっている。

引用:ベストカー

この表現をどう受け止めるかは人それぞれでしょう。「車いす利用者を避けようとしている」という見方もあれば『UDに対応していない』という根拠を示すことで「乗務員の負担を和らげることにつながる」という見方もあります。

誰もが快適に移動できる社会の実現に全体で取り組むべきですが、偏るのはよくないと思います。今回の場合はタクシーになんでもかんでも丸投げしすぎということです。

もちろんタクシー側もなんらかの対応を検討・実施する必要があるのは間違いありませんが、その答えの一つが「シエンタ・タクシー」と言えそうです。