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【タクシートラブル】もしも利用中のタクシーを汚しちゃったら… 高額なクリーニング代や損害賠償を請求される?【清掃費用の一例掲載】

2021年6月15日

いつもご覧くださり、ありがとうございます。溝口将太(みぞしょー)です。

突然ですがタクシーを利用中、例えば嘔吐などで車内を汚してしまったとしたらどうなるのか…考えたことはありますか?

繁忙期になるとネット上では度々話題にもなり、質問に対する返信では「クリーニング代を請求された」「しばらく仕事にならないから損害賠償を請求すると言われた」といったコメントも珍しくありません。

まぁある意味で定番化しているQ&Aでもあるわけですが、実際には相手が悪いと多額のクリーニング代や損害賠償などを求められることも珍しくありません。

しかも真っ当かつ正規の手順で求められるものは法的根拠に基づくので必ず応じなければなりません。

今回はそんな『もしも利用中のタクシーを汚してしまったら…』をテーマに一例を交えてお伝えします。

更新履歴

2024年2月3日:一例として実際の請求額(請求書)を掲載

2024年2月21日:文言の追記と一部修正

2024年11月5日:個人タクシーの実例を追記

2024年11月7日:日の丸交通の取り組みを追記

以前、タクシードライバー(法人タクシー)の友人が乗務中、酔客による嘔吐事案が発生してしまいました。

平たく言えば酒に酔っぱらったままタクシーに乗り、帰宅中我慢できず車内にぶちまけたということですね。

子どもが車内で嘔吐してしまうなら情状酌量の余地はあっても、泥酔状態で人様に迷惑をかけるなどあってはならないことです。

幸いにも友人は、乗客から運賃と自発的なお詫びを頂戴することにより不幸中の幸いで済みました。

このブログ記事のポイント

吐くなら…漏らすなら…タクシー乗るな!!

請求額やべぇぞ!!!

このブログ記事がタクシー利用の参考になれば幸いです。

乗務員と乗客の間に発生する「旅客運送契約」

私も含めてみなさんがタクシーを利用する時は、乗務員さんに目的地を告げ、場合によってはルートを指定し、乗務員さんから了解を得ることになると思います。

そしてメーターを入れてスタートするわけですが、法的な話をするとこの瞬間に乗務員と乗客の間に「旅客運送契約」が成立します。

そして旅客運送契約が成立すると乗務員・乗客それぞれに義務が生じます。

少し見てみましょう。

乗務員に発生する義務

先ずは乗務員に発生する義務から見てみましょう。

乗務員には乗客を安全かつ合理的に目的地へと運送する義務が発生します。

具体的には無事故・無違反を前提とした安全運転です。

もっと言うと揺すられない・酔わせない安定した運転、道路状況に応じた最善のルート運行などです。

未だに「タクシードライバーの運転は荒くて怖い」という特に女性からの声が目立っていますが、その時点で安全に運送する義務の債務不履行と言えるわけですね。

乗客に発生する義務

そして意外と知られていないかもしれませんが、乗客にも義務が生じます。

何度か私のブログ記事内でも出ている言葉ですが、それが善管注意義務です。

タクシー利用で定義される善管注意義務とは、「善良なる管理者としての注意義務に基づいて、車両・座席に乗車するとともに、降車時に既定の運賃・料金を支払う義務」を指します。

この善管注意義務には車両を破損・汚してはならないことも含まれています。

善管注意義務自体は他の業種でも使われる言葉・法律ですね。

つまり、車内で嘔吐してしまう行為は善管注意義務違反であり法律違反ということになるわけです。

法律違反なので、仮に裁判にまで発展すれば乗客は100%負けます。

法人タクシー・個人タクシーの見解は…?

話を元に戻して、ここからは法人タクシーと個人タクシーの対応・見解を見てみます。

乗客による嘔吐等の迷惑行為により車両が汚損され、営業を中断せざる得ない状況に陥って時の対応・見解です。

コロナ禍を経て飲み会なども賑わいを取り戻していますが、通常は特に年末になると質問サイトなどに「タクシーで嘔吐したらクリーニング代などを請求されるのでしょうか?」といった投稿が目立つようになります。

請求されるケースもあればされないケースもある…というのが私からのとりあえずの返答です。

ゆっくり見てみましょう。

法人タクシーの見解:基本的には損害賠償の請求はしない会社が多い

大手4社を含む多くのタクシー会社

法人タクシーの見解としては多くのタクシー会社で運賃・料金(高速料金など)以上を請求しないとしている会社が多いです。

表向きはタクシーのイメージアップやお客様第一主義みたいな理由が挙げられるのですが、本当の理由は違います。

本当の理由…それは裁判等の手間をかけたとしても会社としては大した金にならないからです。

大した金にならないといっても乗客個人にっては大きな賠償額になるはずですが、タクシー会社にしてみれば請求額全額が入るわけでもなく弁護士費用の負担も生じるので、ハッキリ言って面倒くさいというのが本音です。

ネット上で乗務員の泣き寝入りの可能性が高いという解説もありますが、その真なる理由がコレです。

請求額というのは乗務員への営業補償・車両の清掃費用・法人としての損害賠償・裁判費用などが充当します。

さらに、

乗客本人の弁護士費用が発生するものならその総額は20万円では到底済まない可能性も高い

です。

乗客にとっては今後の生活を左右するかもしれない事案でも、タクシー会社にとっては面倒くさい上に大した金にならないから対応しない…というある意味アンマッチな状況が発生しているわけですね。

言い方が悪いかもしれませんが、気が弱い乗務員さんは大体やられます。丸め込まれます。

正しいことは正しいと毅然と対処できる力量も必要なのです。

日の丸交通が新たな方針を明示

日の丸交通株式会社は2024年9月1日より新たな方針を明示しています。

日の丸交通株式会社は、2024年9月1日より新たな方針としてお客様が嘔吐等の迷惑行為により車両が汚損され、営業を中断せざるを得ない場合、運送約款第10条に基づき、車両のクリーニング代及び休車損害として、一律2万円の賠償金をお客様に請求させて頂く事と致します。

一方で、上記の請求がお客様に発生しないよう、全車両にエチケット袋を常備し、万が一の事態に備える体制を整えております。

この新方針により、車両の清潔さを確保し、全てのお客様に快適なサービスを提供することを目指します。

出典:日の丸交通株式会社

引用元:https://hinomaru.tokyo/messages/197

つまり、

やらかしたら「運送約款第10条(※)」を根拠に2万円を請求するよ!

ということですね。

※一般乗用旅客自動車運送事業運送約款 第10条(旅客の責任)

2万円の内訳

・クリーニング代:12,500円(車両のクリーニング及びオゾン脱臭)

・休車損害:7,500円(現状回復までに要する時間に対する休車損害)

出典:日の丸交通株式会社

引用元:https://hinomaru.tokyo/messages/197

個人的には素晴らしい取り組みだと思います。他のタクシー会社は見習うべきですね。

ただ、乗務員からは「俺なら内々で3万円は取れるのに…ポケットに入れちゃうのに…」という声もボソリと聴こえそうです(笑)

個人タクシーの見解:2024年11月5日に実例の追記あり

では個人タクシーはどうでしょう。法人タクシーとの違いはあるのでしょうか?

絶対に汚してはいけない相手

乗客のことを想ってお伝えしますが、

絶対に汚してはいけない相手

です。

「個タク」と呼ばれる彼らは「個人事業主」なので、例えば車内嘔吐で汚された時点で数日間稼働できなくなる可能性が高まります。

また、求められる営業補償も法人のそれを上回ることがほとんどです。

法人タクシーよりも稼働できなくなる要因の一つとして、使用車両の違いが挙げられます。

今でこそ東京都心を中心に走行しているJPNタクシー。このクルマはある程度は清掃が行いやすい構造になっています。狙っているのかたまたまなのかはわかりませんが…。

さらに法人タクシーという特性上、部品の供給も比較的容易で万一破損・故障をしていても再稼働までにそれほど時間を要しません。

 

個タクは違います。

一般乗用車をタクシー仕様にしているのでむしろコストが上がっており、例えば吐しゃ物で自動ドアや窓を壊してしまうものなら本当に大変なことになります。

 

そして法人とは違い、個人タクシーは業者に清掃を依頼することも珍しくありません。

コロナなど感染症のリスクも加味すれば費用が増大している可能性すらあります。

それら全てを嘔吐した乗客に対して法的に請求できるので、請求額は正直想像もつきません。

2024年11月5日追記:知人の個人タクシーの実例

先日、知り合いの個人タクシードライバーと大黒PAで落ち合ってクルマトークをした時ですが、実際に以下のような請求を行ったそうです。

やらかした相手は女性。女性だろうと商売道具を汚したら彼らは容赦ないですよ。

実際の損害賠償請求の内訳

・運賃と料金:約8,000円(その場で回収)

・当日の営業損害:その場で5万円回収したそう

相手が納得したからいいものの、その場での営業補償請求はちょっとやり過ぎ

・損害賠償:清掃業者に預けたので、清掃費と稼働できない3日分の営業補償を請求

相手の合意は必要ですが、追加請求額は20万円を超えるでしょう

裁判になっても間違いなく個人タクシーが勝つので彼らは強気です。

マジで気を付けてください。

乗客側のベストと思われる対応

それでは乗客側のベストな対応は?

タクシーを利用する時の注意点としてご覧ください。

車内嘔吐をしないように自分自身をしっかり管理する

これが一番ですが、それができないから車内嘔吐が発生するわけですね(笑)

 

スッキリさせてからタクシーを利用しましょう!本当にこれが全てです。

 

もし乗車中に気分が悪くなったら遠慮せずに乗務員に伝えてください。それが一番ありがたくお互い平和的に旅客運送契約を履行できるのです。

それでもやってしまったら…

確かに乗務員からの金銭の要求は恐喝に当たる可能性が非常に高いです。

それを恐れて特に法人タクシーでは請求しないとしている側面もあるのでしょう。

今回のブログで一番お伝えしたいことをオフレコで書きます。

 

素直に謝ってタクシー代(運賃・料金)を支払い、別途3~5万円を現金で渡してください。

 

余程のことがない限りこれで許してくれます。後から法律を根拠に色々請求されるよりはいいでしょう。

また、法人タクシーが原則請求しないといっても、あなたの降車後に乗務員さんは帰庫してあなたの汚物を片付けることを思えば…私が言えるのはここまでです。

(自分の部屋でほぼ他人が嘔吐して何もせずに帰ったら怒り心頭ですよね?)

できれば現金で支払ってください。ネット決済やカード支払いになると後処理が面倒になる可能性があります。

乗務員の対応について

乗務員の対応も記載します。

利用されるみなさんも参考にご覧ください。

金銭の直接要求は恐喝になる可能性が高い

車庫で清掃をしている同僚を数多く見てきた私からしたら疑問に感じるところもありますが、「これでは仕事にならないから迷惑料を支払え」というのは恐喝に当たる可能性があります。

そう言いたくなるのもわかるのですが、この時点では「迷惑料」という文言・内容に法的根拠が全くないのです。

早とちりしてしまうと失敗するいい例でもあります。

では「法的根拠」とはどういうものなのでしょうか。

営業補償・休業補償・清掃費用など

これらは損害賠償としての法的根拠で乗客に請求することが可能です。

営業補償

営業補償は営収補償と言い換えることもできますが、簡単に言えば「汚されたからこの先仕事ができなくなった。その分を補填してね」ということです。

これは嘔吐した(汚してしまった)時間帯や乗務員によって請求される金額が異なります。

金額の求め方は「該当乗務員個人の過去3か月間の営収の平均で割り出した数字」が適用されます。

こちらの数字が法的根拠として機能します。交通事故関連でも適用されていますね。

個人タクシーへの営収補償が大きくなる理由でもあります。

では仮に、『たまたまその日の営収が平均をずば抜けていい状態で嘔吐され、まだ稼働時間も十分残されていた場合』はどうなるのか…私も直接見たことはありませんが、なんらかの根拠に基づいて算出されると思います。

しかし大した金額にはならないでしょう。

休業補償

「営業補償」がドライバー個人に対する補償に対して、「休業補償」はタクシー会社から請求される補償です。

しかし法人タクシー相手ではほぼ発生しないと考えていいと思います(日の丸タクシーを除く)。

発生するケースとして…翌日になっても汚れ・臭い等が解決されず、翌日の担当乗務員が他の車両全て稼働満車のため、乗務できなった場合に発生します。

休車台数に悩まされる法人タクシーではあまりないと言えるでしょう。

逆に、

個タクは1台しかないのでほぼ100%発生

します。

清掃費用(下記に請求書の実例を掲載)

清掃業者に清掃を依頼した場合に発生する費用です。

その費用は内容次第ですが基本的には数万円です。

最近はコロナのリスクや物価高の影響もありより高くなっていると聞きます。

請求書に記載された請求額を法的根拠として乗客に請求することが可能です。

実例を踏まえて詳細を後述しています。

その他:器物損壊が発生した場合など

その他として、仮に部品・備品などを汚したり破損させたりすればそれ相応の請求は発生します。

よくある一例として…窓から外に吐こうとするも間に合わず、ドアパネルの内側に吐しゃ物を侵入させてしまった場合です。外に吐くことはできてもボディ側面を汚してしまえば清掃費用などは発生します。

現場での対応 不幸中の幸いで終わらせるために

ちょっとウラ話のような内容になりますが…。

乗客に嘔吐された場合、タクシードライバーはまず警察を呼ぶことをお勧めします。

それは自身の正当性を自信をもって主張すること、もし訴えることになるのなら乗客の名前・住所・電話番号等を控えることになるからです。

実は「警察を呼ぶ」という手段は乗客に対するプレッシャーにもなっています。乗客も警察を呼ばれること自体に後ろ向きになるのは当然ですからね。

ある程度話せるようになれば「乗車前の状態に戻してください」と伝えます。つまり乗客は自分の吐しゃ物を自分で処理しろと言われるわけです。

大概は無理ですけどねww

この後に実情を伝えます。ポイントは「もう仕事にならないこと」「清掃業者に依頼すれば多大な費用が発生する事」「裁判になれば100%乗客が負けること」です。

感染症のリスクを挙げてもいいでしょう。

そして「じゃあどうしますか?」と乗客に選択肢を委ねるのです。

ここまで話せばよほど鈍くない限り察します。

つまり乗客に請求するのではなく、乗客から「これで許してください」と提案させるわけですね。

それでも相手がゴネたとしたら…私なら「それではあなたに少額訴訟を起こします。100%私が勝ちますから」と言い放ちます。

とにかく責任は取らせますね。

【実例】本当に清掃費用が数万円かかるのか 一例を画像ありで記載

では最後に…実際に車内嘔吐をしてしまうと本当に清掃費用が数万円規模で発生してしまうのか?

友人の実例を請求書の画像を交えてお伝えします。

嘔吐による車内清掃の請求書(一例)

車内嘔吐による清掃を出張業者に依頼

出典:友人提供(個人情報を削除済み)[画像タップで拡大表示]

これは実際に友人が乗務していたタクシーに乗客が嘔吐した後、出張対応をしてくれた清掃業者が掲示した請求書です。

清掃内容によって請求額は多少異なりますが、上記の内容でも55,000円発生していることがわかります。

しっかりした手順を進めればこれは嘔吐した乗客本人に請求できます。

本当に

万単位で清掃費用が発生し請求される

のです。

さらにタクシー乗務員への損害賠償やその他費用(裁判費用・弁護士費用など)も加算されるので、

10万20万を超えてもなんら不思議ではない

のです。

まとめ

結び

ちょっと嫌な話になってしまいました。

今回はわかりやすく車内を汚す代表例の「嘔吐事案」を中心にお伝えしましたが、車両を傷つけたり壊したりすれば同様のケースが発生することは言うまでもありません。

どのような理由であれ、人様の物を壊したり汚したりしてはいけないのです。当たり前ですよね。

鉄道では嘔吐してしまっても基本的には責任を課さないようですが、本来それは普通のことではないはずです。

「飲んだら乗るな」とは言いません。

乗るからには自身をしっかりコントール・管理する姿勢が大事だということです。

ちなみに友人の一件は急性アルコール中毒の可能性もあったので、警察だけでなく救急車も呼ばれちゃったそうです。

翌日、運ばれた乗客はその家族や職場の人に迷惑をかけたことは言うまでもありません。

しかもその乗客は医療従事者だったそうです(笑)

さらに余談ですが、過去に私が対応した乗客も軽く嘔吐してしまったことがありました。

某企業の社員かつ先輩社員と一緒だったので大事にはしたくないようで、私に土下座しながら運賃とは別に2万円を差し出してきたことはありました。

(もう1万出せと思いましたが、そこそこの運賃が発生していたので許してやりました)

このブログ記事がみなさんのタクシー利用時の参考になれば幸いです。

  • この記事を書いた人

溝口将太(みぞしょー)@旅するモビリティサウナー

運転免許証が無くなると生活が破綻する人生崖っぷち男 道路を80万キロ以上走り続けている男がサウナの素晴らしさに目覚め、モビリティとサウナがあれば幸せとブログ運営を始めた『モビリティサウナー』 サウナ・スパ 健康アドバイザー取得済み 当ブログでは愛車・鉄道乗車記・サ活記事などをマイペースで更新しています(実際にかかった費用も極力掲載)。ご依頼を受けたり興味を持ったクルマのレビューや出来事も執筆・掲載しています。 モビリティとサウナでより良い人生をクリエイト。クルマ選び・移動手段・休日の参考になれば幸いです。 副業はGROMで工夫しながらフードデリバリーを真剣に稼働中。マイペースで楽しく稼いでいます。 愛車は2024年8月に納車されたスバル「レヴォーグ レイバック」。どこにでも行ける頼もしい家族。 それまでの相棒「BRZ」とはお別れ。忘れられないので環境を整えて増車購入を狙っています(笑) よろしければ各SNSへのフォローもお願いします。

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