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【試乗記】Hyundaiが日本再上陸! BEV『IONIQ 5』は素直に凄い!そして悔しい

2022年2月27日

いつもご覧くださりありがとうございます。溝口将太です。

前回のブログ(リンク先は最後に記載)の続きになりますが、このページではHyundai(ヒュンダイ改めヒョンデ)『IONIQ 5』の試乗レビューをお届けします。

試乗車のグレードは「Lounge AWD」というIONIQ 5のトップグレードになります。

IONIQ 5 Lounge AWDのまとめ

最初にIONIQ 5 Lounge AWDの性能を簡単にまとめておきましょう。

IONIQ 5 Lounge AWDの車両概要

・ボディサイズ(㎜):4635×1890×1645

・ホイールベース(㎜):3000

・最低地上高(㎜):160

・車両重量(kg):2100

・定員:5人乗り

・動力源:交流同期電動機

・駆動方式:2モーター式AWD(後輪駆動ベースのオンデマンド型AWD)

・タイヤ・ホイールサイズ:ミシュラン「PILOT SRORT EV」  255/45R20 105W

・車両価格:5,890,000円(税込)

IONIQ 5 Lounge AWDの性能まとめ

・システム最高出力[ kW(PS)/rpm]:225(305)/  2800~8600

・システム最大トルク[ N・m(kgf・m)/rpm]:605(61.7)/  0~4000

・フロントモーター最高出力(kW):70

・リアモーター最高出力(kW):155

・電池種類:リチウムイオンバッテリー

・総電力量(kW): 72.6

・総電圧(V):653

・航続距離(㎞):577(カタログ値より)

スペックから後輪駆動ベースのAWDであることがわかります。

IONIQ 5 Lounge AWDに試乗 この快適性能はEVならでは?

それでは試乗レビューをまとめます。

試乗コースは代々木体育館周りを2週

試乗ルートは代々木公園あるいはNHKの近隣を2週するというもの(距離にして約5キロ)。Hyundai House Harajukuを起点に反時計回りに走るので右折がありません。

試乗はなるべく空いている時間帯(例えば平日の日中)が理想ですが、私が試乗したのは金曜日の夜…かなりの混雑具合でした。

あくまで私の目線ですがこのコースではわかることは、

・代々木公園の間の代々木公園通りは下り坂なので回生ブレーキの減速度合を体感できる

・代々木公園交番交差点での斜め後方の視界性能を確認できる

・NHK手前のちょっとしたS字カーブと路面状況はあまり良くないのでシャシーの安定性を確認できる

・渋谷区役所前へはちょっとした勾配があるのでモーターならではの駆動力を体感できる

致し方ないですが全てを理解するには程遠い試乗コースです。

出典:友人提供

他にも試乗コースがあるのかは不明ですが、私の友人が外苑で横浜ナンバーのIONIQ 5を目撃しているので他にもあるのかもしれません(Anycaのカーシェアを利用していた可能性もあります)。

ちなみに画像のIONIQ 5はホイール形状からしてLounge AWD以外のグレード…つまりRRモデルですね。

説明を受けて発進 ステアリングの軽さにビックリするも速度が乗ると…?

いよいよ試乗を開始します。駐車場付近は狭いので代々木体育館前まではスタッフの方が運転します。一通りの説明を受けて運転席へ。ヒョンデの日本仕様はウィンカーレバーが右で日本車と同じです。

筆者撮影

ウィンカーに連動してサイドミラーのカメラ映像を表示(画像は左ウィンカー点灯時)

シフトダイアルを”D”にセット。右ウィンカーを出して安全を確認。アクセルを踏みながらステアリングを右へ切ると…おお!ステアリングが軽く抵抗感がほぼありません。幅1890㎜・重さ2100kgという車体をここまでステアリングの操作感を感じさせることなく動くのは凄いと思いました。

IONIQ 5はステアリングの軽いクルマにありがちなフニャフニャした足回りではないので、ステアリング操作は軽いのにクルマはしっかり反応して動くという不思議な感覚を味わうところから始まりました。

正直に言います。この瞬間に「俺とIONIQ 5は合わないな」と思いました。私はステアリング操作は重めでステアリング反力が感じられるフィーリングを好むので「このクルマはこういう方向性なのかな」とほぼ決めつけてしまいました。

ところが…ヘッドアップディスプレイとしてフロントガラスに表示される速度が30㎞/h前後のところでステアリングにどっしり感が伝わるようになったのです。

「あれ?あれれ??」

最初はまったく感じなかった抵抗感が手に伝わります。思わずスタッフさんに「ステアリングの抵抗感を速度によって変えていますか?」と聞いてしまいましたが、「そうではなく、フロントモーターが駆動を始めたのでその動きが抵抗感としてステアリングに伝わるようになっています」と教えてくれました。

なるほど…正しい表現かわかりませんが、後輪駆動ベースのAWDなので後輪のモーターのみが駆動している時はそのメリットを活かすためにステアリングが軽く操作できるようになっているのですね。そしてフロントモーターが駆動するとステアリング反力や路面状況がしっかり手に伝わるようになる…と。

コレは面白いですね。AWDになった瞬間がわかるしステアリング操作がものすごく重くなるわけでもないので誰にでもスポーティーなハンドリングが愉しめます。

しかし試乗で感じた範囲ですが、スポーツカーのようなステアリングを切った瞬間にクルマが反応するほどのクイックさはありませんでした。あくまで日常使いにおいてはスポーティーなステアリングフィールという感覚です。

RRモデルには試乗していないのでわかりませんが、もしステアリングフィールに極端に差があるのなら私はAWDモデルをお勧めします。本音を言うと個人的にはステアリングの操作感にもう少し”粘り”があってもいいかなとも思ったほどです。

もしRRモデルのステアリングにもしっかりと抵抗感が伝わるのなら、後輪駆動の面白さをより実感できる可能性はありますね。今後多くの方がIONIQ 5の試乗レビューを発信すると思いますが、ステアリング操作に対して「どっしりとしたフィーリング」というようなレビューはAWD、「ステアリングが軽く車重を感じさせない」というようなレビューが見られたらRRの可能性が高いです。

視界性能は上々 車幅1890㎜というのも感じさせないドライブフィール

筆者撮影

展示車での撮影ですが、視界性能の印象は悪くなくそれは試乗でもしっかり確認できました。リアの窓ガラスの面積が思いのほか大きいので代々木公園交番の交差点でしっかり歩行者を確認できました。

車幅が1890㎜とアウディ Q5に迫る大きさですが、試乗の範囲ではそこまでの大きさを感じさせませんでした。

安定性は高いが乗り味は硬めな印象 しかし後席からの印象は…?

筆者撮影

NHK手前のちょっとしたS字カーブを走行します。ステアリングを切ってもロールをほとんど感じさせない乗り味はいいですね。ホイールベースが3000㎜ありますがリアの追従性は大したものです。後輪駆動ベースが効いているのでしょうか?

しかし運転している私が感じた限りでは足回りはかなり硬め。硬めの足回りは大好物なので大歓迎ですが、ダンパーのストロークが路面振動の入力に対して調整不足のように感じました。凹凸のない整った道路だと感動的な乗り心地だと思いますが、ちょっと路面が荒れた場面では一つ一つの振動をほぼ全て伝えてくるような…そんな印象でした。

この足回りの特性は高速道路やワインディングも試してみたいものです。

一方でリアシートに友人が同乗していたのですが、友人の感覚は違ったものでした。コメントを抜粋します。

後ろにいてもスムーズさをとても感じて道路を走る振動をほとんど感じなかった。

ビジョンルーフが開放的で圧迫感は皆無。

乗り心地は最高だった。

(夜間星空の下などで)ビジョンルーフがあればドライブデートで相手を押し倒して…。

最後のコメントは舐めてるとしか思えませんが(参考にはなるかもしれませんが…)、リアシートに座っていた当人の感想としてはすこぶる快適だったということですね。

なんでかなぁとちょっと考えてみましたが、おそらく後輪駆動ベースであることがポイントで、リアモーターがフロントモーターよりも重く路面からの入力を結果的に抑えていたのではないかと。さらにフロントシートよりリアシートの方が柔らかく座り心地や乗り心地の印象も最初からよかったはずです。

この2つの要因はかなり大きいのかなと想像しています。

アクセルレスポンスはさすがBEV 発進即最大トルクを発揮するスムーズな加速は虜に

今回の試乗ではフルアクセルはもちろん体験できなかったのですが、そもそもBEVなのでスマートな運転を心がけてみました。

アクセルに対する応答性は流石ですね。軽めの踏み込みに対しても遅れが無くスムーズに走るこの感覚は電気自動車ならでは。リアモーターが発進即最大トルクを発揮するので2100kgという車重も気になりません。深く踏み込むとフロントモーターも即駆動するのでしょう。

走行モードは「ECO」「NORMAL」「SPORTS」がありますが、SPORTSを選択するとアクセルに対する反応もより機敏になります。市街地走行はNORMALで十分です。

NHK前を抜けて渋谷区役所方面へ。ちょっとした勾配がありますがアクセルを軽く踏み足しただけで速度をキープ…むしろ加速していきます。試乗レベルあるいは交通量が多い街中での走行はどのタイミングで加速しても最大トルクを発揮してくれると思います。

トータルの印象としてはテスラのような鬼加速ではなく、従来のエンジン車からの乗り換えでも大きな違和感を感じさせない味付けのような気がします。

2週目では回生ブレーキの性能をチェック

2週目は回生ブレーキの性能に集中。ステアリングにはパドルが左右に付いていますが、このパドルを使って回生ブレーキレベルを調節します。

調整レベルは「レベル0(コースティング)」「レベル1」「レベル2」「レベル3」「i-pedal(ワンペダル走行)」の計5段階です。これらはアクセルをオフにした状態で機能します。

左パドルがレベルを上げ(回生ブレーキを強める)、右パドルがレベルを下げます(一番下がコースティング)。奇しくもエンジン車のエンジンブレーキを効かせる時のパドルシフト操作と同じ使い方です。

レベル0はコースティングと呼ばれるもので”惰性走行”を意味し、回生ブレーキを使わずに速度キープを前提に走行します。レベル1からは回生ブレーキが働きレベル3になるとかなりの減速力が発生。

エンジン車のエンジンブレーキの感覚に近いのは、比較車種によって異なると思いますが、レベル2あるいはレベル3でしょう。

i-pedal(ワンペダル走行)は完全停止まで機能します。レベル3以上の減速力が発生してバッチリ停止します。ただしオートブレーキホールドをオンにしていても、i-pedalによる停止時は機能しません。

信号待ちなどで停止した際は、一度ブレーキペダルを軽く踏んであげましょう。これでオートブレーキホールドが作動します。

2週目の終わりはHyundai House Harajyuku手前で停車してスタッフの方とバトンタッチ。帰りもほんのわずかですがリアシートの座り心地を実感できます。

広さに驚いて座り心地の詳細は忘れましたが十分な大きさのシートでゆったり座れて快適だったのは間違いありません。

試乗の感想 ぜひ首都高速も試乗コースに…

IONIQ 5の完成度は高い! 触れる方が多ければ相当売れる…と思う

普段は体感できないBEVの世界を堪能することができる素晴らしい試乗でした。IONIQ 5は思った以上に完成度が高い反面、足回りの設定など今後のマイナーチェンジに相当するまでに改良する余地も多々あるとも思います。

しかし日本国内ではBEVというカテゴリーが広く浸透しているとは言えないので、検討しているユーザーに何か1つでも刺さる要素があれば売れてしまうと思われるのが現状です。

例えば…奥さんに財布を握られているご夫婦がIONIQ 5に触れると、旦那さんのご検討車種は無視されて決められてしまう可能性があります(笑)

それほど大きな魅力が詰まったこのIONIQ 5は、ヒョンデが提供するBEVとしての商品力の表れではないかと。IONIQ 5のオンラインオーダーは2022年5月に開始予定/納車は同年7月から順次対応予定としています。

後述しますが、ヒョンデは実店舗を持たないオンラインでの販売がメインとなります。

ぜひ試乗コースに首都高速を!

そして…もし可能ならば試乗コースに首都高速を加えて頂きたいと思います。

まず、2022年2月8日の日本再上陸正式発表から1か月足らずでこの試乗体制を整えたのは称賛に値します。

もちろん念入りな事前準備も怠らなかった上であることは間違いなく、これだけでもヒョンデが日本国内のBEVあるいはFCV戦略に対して本気で向き合う姿勢が伝わります。

その上でのお願いなのですが、このIONIQ 5は首都高速道路の試乗でより素晴らしい体験を得られると思うのです。

具体的なコースは代々木ランプから4号新宿線を都心環状線方面へ向かい、都心環状線を1周して再び4号新宿線へ。降りる出口は外苑。

マップに起こすとこのような感じになるのですが、首都高4号新宿線はカーブが多く都心環状線は制限速度こそ50㎞/hですがアップダウンありS字カーブありでIONIQ 5の良さをより効果的に体感できる環境にもマッチしていると思います。

高速代は試乗予約者の負担など一定の条件を設けて…どうでしょうか?(笑)

 

次のページではヒョンデが日本国内でのマーケットを戦略に本気で取り組むであろう根拠を探ってみます。

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溝口将太(みぞしょー)

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