電動キックボードは次世代モビリティの主役になれるか?

2021年6月6日

いつもご覧くださりありがとうございます。溝口将太です。

突然ですが、遊具として利用されているキックボードを見て「危ない!」と感じてしまう方は多いでしょう。

しかし『電動キックボード』が将来のMaaS、モビリティの一翼を担える可能性があることがわかりました。

今回は電動キックボードが次世代モビリティの主役になれるかどうかを簡単に掘り下げてみたいと思います。どのような可能性を秘めているのでしょうか。

電動キックボードは『原動機付自転車』扱い

次世代モビリティの主役になるのでは?ということで注目をされている電動キックボードですが、前提として日本の道交法では電動キックボードは『原動機自転車』、いわゆる『原付』に分類されています。

総排気量50cc(定格出力0.60kW)以下の二輪のもの、「内閣総理大臣が指定する」50cc (0.60kW) 以下の三輪のもの、または前2者以外で20cc (0.25kW) 以下の三輪以上のものを原動機付自転車とする

道路交通法施行規則第一条の二を要約

出典:e-Gov 及び Wikipedia

この『定格出力0.60kW以下の二輪』が電動キックボードにあてはまります。

原付扱いということは運転免許はもちろん、道路運送車両法の保安基準(バックミラー、方向指示器、前照灯、番号灯、前後のブレーキ、ナンバープレートなどの装着が義務付けられている)を満たす必要があります。

ナンバープレートを装着するということはナンバーを登録します。自賠責保険の加入や税金の納付も必要になるということです。

つまり50㏄の原付バイクを所有・走行するのと同じことになりますので当然、ヘルメットの着用も義務付けられますし歩道の走行は禁止されています。

これだけ見るととてもスマートとは言えないですね(笑)

この電動キックボードが公道初の実証実験を2020年10月中旬を目処に開始する(詳細は下記)ようですが、相当の覚悟をもって臨むべきだと私は考えています。もちろん賛成という立場としてです。

既存の道交法において運転免許等が必要なのは致し方ないとして、やはり注目は歩行者の新たな移動手段として提案可能かどうかです。ですので歩行者こそ道路交通マナーと意識を変えるいい機会なのではないかと考えています。

なお、従来のキックボードは『遊具』扱いです。



よりスマートな移動を実現するために

事業者の方々は『(できれば道交法は関係なく)誰もが気軽に移動できる手段として電動キックボード(のシェアリングサービス)を提供したい』というのが本音でしょう。

その環境の実現には実証実験中に電動キックボードが安全かつ便利な移動手段であることを証明する必要があります。

日本の公道は最近こそ都心部でも自転車専用通行帯が整備されるようになりましたが、逆に言えば歩行者に対する保護機能を高めたことにより、歩道における軽車両と歩行者との接触事故の際の過失割合も大きなものになっています。

そして電動キックボードは原付扱いですので万一遊具感覚で歩道を走り歩行者と接触しようものならその責任は甚大なものになるでしょう。それこそ自賠責保険では賄えない可能性も生じるのです。

利用者はそれを重々承知する必要があります。そして電動キックボードを利用する人が普段は歩行者としての移動がメインである可能性が高い以上、歩行者にこそ最も注意喚起を促して頂きたところです。

公道を走る他の車両はなるべく温かい目で接してあげてほしいと思います。

結局のところは『事故を起こさない・起こさせない』『違反行為をしない』『路上でトラブルを起こさない』という法律とマナーを最低限学び、実践することがスマートな移動手段の構築実現に繋がると考えます。



LUUPをご紹介

LUUP』は『株式会社Luup』が展開・提案を行っているシェアリングサービスです。電動キックボードについては横浜国立大学の敷地内で2019年末から実証試験を行っていたそうです。

『LUUP』という表記と『Luup』という表記がありますが、おそらく『株式会社Luup』が提供する『LUUP』というサービスだと思われます。

出典画像:Luupホームページ

こちらが提供されている電動キックボード。シンプルでスマートなデザインですね。2020年10月中旬を目処に初めて公道で実証試験(詳細は下記にて)が開始されますが、こちらが使用されると思われます。

出典画像:Luupホームページ

LUUPアプリはiOSに提供されているようです。ダウンロードはこちら(https://luup.sc/service/)からどうぞ。

出典画像:Luupホームページ

詳細はホームページ等(リンク先:https://luup.sc/)をご確認いただきたいのですが、利用者や使用用途に合わせたモビリティを展開予定だそうです。例えばデイサービス施設などで設置される予感がしますね。

電動アシスト自転車は渋谷エリアでシェアリングサービスとして展開中だそうです。かわいいデザインですね。

出典画像:Luupホームページ

ポート設置をお店に誘致する活動も行っています。これは素晴らしいですね。自社でポート設置施設を新設する必要もなく、設置店舗としても新たな移動手段として提供することができます。またお店への誘致にも活用できます。

出典画像:Luupホームページ

この取り組みが成功すれば観光地や行楽地でも同じ仕組みで提案することができるでしょう。ポート設置に興味がある方はこちら(リンク先:https://www.luup-port-owner.com/)をご覧ください。

将来がとても楽しみな企業ですが、以下に紹介する公道試験ではとりあえず「シェアリングというよりはレンタルに近い形」で行うそうです。

電動キックボードは原付扱いになりますので、ヘルメットの着用やナンバー設置などの観点から既存の道交法に合わせた利用者目線での公道試験だと思われます。ヘルメットのシェアは難しいですからね…。



西新宿エリアで公道試験を開始

2020年9月24日、上記でご紹介した株式会社Luupは新宿副都心エリア環境改善委員会と『西新宿地区のスマートシティ化推進に向けた連携協定』を締結しました。詳細は私のツイートから記事(Yahoo!ニュース)をご覧ください。

スマートシティとは、IoT(Internet of Things:モノのインターネット)の最先端技術を用いてエリア全体がインターネットで繋がりかつ省電力で動いていたり、自動運転の車が走っていたり…という近未来的な街というイメージです。

そんな西新宿はどのようなエリアなのでしょうか?

西新宿と言えば甲州街道と青梅街道、さらには職安通りに挟まれるように超高層オフィスビル、大型有名ホテル、さらにはタワーマンションが展開されている高層ビル密集地帯です。

新宿中央公園という大きな公園があるのも特徴です。その気になれば新宿駅も十分徒歩圏内です。

報道には『10月中旬を目処に電動キックボードの公道走行の実証試験を行なう計画を発表した』とあります。

個人的には西新宿というエリア、いい場所を選んだなと感じています。

例えば新宿駅近辺へちょっとした買い物に出かける場合、クルマでは出し入れや移動距離・出先の駐車環境を考えるとむしろ手狭、でもわざわざ西新宿駅や西新宿5丁目駅に向かうほどでもなく、タクシーでは往復利用を考えるとちょっともったいない(まぁ十二社通りはよく手が挙がるのですが)。

シェアサイクルも近くに設置されているのですが、ほとんどの場合で「充電が切れている」「充電が50%未満」といった具合でした。

そして西新宿エリアに住んでいる方々…若干の偏見かもしれませんが、間違いなく便利&最先端に意識を向けられている方々が多いエリアです。特に住まいであるタワーマンションはIoTを売りに元々インターネットに接続されています。

そんな西新宿ですが、日中は人の流れが多くなるエリアで周囲の道路は比較的広いので電動キックボードの実証実験を都心で行うにはよい環境だと思います。ただ、一部で昔ながらの極端に道が狭いエリアもあります。

周囲からの注目度も自然と高くなるでしょう。つまり「私の地元にも展開してほしい」と思わせることができます。

甲州街道と青梅街道はクルマの流れも多く、歩行者も大勢が行き交っているので電動キックボード利用時は注意が必要です。

余談ですが、首都高速の新宿出入口も西新宿に位置しています。

Luupさん、横浜の金港・みなとみらい・本牧…横浜ベイサイドエリアでやってみませんか?(笑)



地方創生のカギとなる新たなモビリティ

あくまで私の勝手な希望ですが、東京で知名度を高めたあとは地方創生への可能性を見出してほしいと思います。

確かに既存の道交法では免許が必要だったり新型コロナウイルス感染症防止の観点からヘルメットのシェア・レンタルも微妙なところではありますが、仮に観光地へクルマや鉄道で出かけた時、その観光地を電動キックボードで巡るプランがあればきっと価値ある移動を提案できるのではないかと思っています。何より楽しそうですよね。

「クルマで巡るのは難しい」「鉄道では最寄の駅までしか行けない」そんなちょっと選択に躊躇してしまう観光エリアでのさらなる需要開拓に適しているのではないでしょうか。

それは同時に『MaaS』の中に組み込むことも可能であるとも言えます。

また、交通空白地帯そのものに対しても優れた移動手段になることも期待できます。



まとめ

電動キックボード…都心部・郊外・地方それぞれで違った運用方法が求められるでしょう。しかし「安心」「安全」を実現・提供しなければならないのは間違いなく共通のはずです。

しかし運営企業からの提案・提供だけでは限度があり限界が訪れるでしょう。移動をもっともっと便利に快適なものにするためには利用者全体の交通マナーに対する意識の底上げが重要になります。

移動手段の選択肢が増えれば他の移動手段の利用密度が下がることになり、今風で言えば新型コロナウイルス感染症対策にも繋がると言えるでしょう。

誰もが気軽に電動キックボードを利用できるようにするためには法整備や利用者教育などちょっとした工夫は必要かもしれませんが、電動キックボードでの短距離移動が当たり前の世の中になることを期待しています。

法令遵守の上で電動キックボードを活用したUber Eatsが配達している姿を見るのもそう遠くはない…かもしれません。