いつもご覧くださりありがとうございます。溝口将太です。
2020年10月1日より「虎ノ門ヒルズ」「新橋」「勝どきBRT」「晴海BRTターミナル」をつなぐ『BRT(Bus Rapid Transit)バス高速輸送システム』のプレ運行が開始されました。
BRTとは「Bus Rapid Transit」(バス高速輸送システム)の略です。連節バスの採用、走行空間の整備等により、路面電車と比較して遜色のない輸送力と機能を有し、定時性・速達性を確保した、バスをベースとした交通システムを指します。
引用:TOKYO BRTホームページ
イメージとしては路面電車と路線バスの融合みたいなものでしょうか。
残念ながら私はまだ乗車できていませんが、せっかくなのでご紹介したいと思います。
利用感覚としても法的解釈としても路線バスのそれですが、東京・臨海エリアの次世代モビリティとして活躍が期待される「TOKYO BRT」の中身を探ってみたと思います。
一番の注目点は一部の運行車両に「連節バス」が充当されることだと思いますが、他に「燃料電池バス」が充当される点も見逃せません。
なお、今回のプレ運行は『プレ運行(一次)』とされており、今後は『プレ運行(二次)』を挟み『本格運行』とする予定です。
TOKYO BRTがプレ運行開始
画像出典:TOKYO BRT(https://tokyo-brt.co.jp/about/)
新型コロナウイルスの影響で運行開始が延期されていたそうですが、お伝えしている通り、2020年10月1日より「TOKYO BRT」がプレ運行を開始しました。
おそらく試行錯誤の段階だと思われますが、虎ノ門ヒルズと勝どき・晴海エリアを結ぶことにより、鉄道では直結されていない鉄道空白地帯からの移動を次世代モビリティとして提案しています。
それを示すように、
東京BRTは2022年の本格運行に先立ち、プレ運行を実施いたします。車両は本格運行でも使用する車両を用いて、準備の整ったところから順次運行を開始してまいります。
引用:TOKYO BRTホームページ
とあります。
晴海のタワーマンションからは新橋駅への直通バスがあるのですが、それは居住者専用。もちろん公共交通の移動手段とは言えないので、BRTは地域の新たな移動手段としての期待度は高いのではないでしょうか。
以前私がブログで紹介した横浜の連節バスは観光需要に対する移動手段としての側面が強いのですが、こちらは地域の足としての移動手段と言えそうです。
それでは中身を追っていきましょう。
なお、横浜の連節バスに興味がある方はこちらをご覧ください。
プレ運行(一次)ルート
プレ運行ということもあり停留所は全4か所と限定的な印象ですが、この区間は特に虎ノ門ヒルズ~勝どき・晴海エリアをダイレクトに結ぶというのは大きなアピールポイントになるでしょう。
走行ルートは最近整備が進んでいる「環二通り」を有効活用しています。移動者が分散すれば新型コロナウイルス感染症対策にもなります。
各停留施設の詳細は後述します。
運賃
利用方法は他の路線バスとほとんど同じなので直感的に利用できるでしょう。
詳細は京成バスホームページ(https://www.keiseibus.co.jp/)をご覧ください。
運行車両
注目の連節バスはとりあえず1台(1編成?)ということで運行ダイヤすべてに充当されるわけではありません。
他の運行車両として充当されるのは「ディーゼルバス(通常の路線バス仕様と思われます)」と次世代のモビリティらしく「燃料電池バス」が使用されます。
燃料電池バスはトヨタ自動車製、連節バスはいすゞ自動車製です。
つまり連節バスについては横浜の「BAYSIDE BLUE」と同じ車両を使用していることになり、国産2例目の運行ということになります。
連節バスはよく見比べると同じ車両であることがわかります。燃料は軽油・動力源はエンジン+モーターのハイブリッド方式です。
BRT車両の内装は、日常の通勤通学での利用とともに、観光での利用を想定した、単なる移動ではなく、東京の風景を楽しみ、豊かな日常のワンシーンを形づくるデザインとなっています。木調素材によるあたたかみのある雰囲気と、落ち着きのあるシックな座席シートにより、楽しく上質な乗車体験を創出します。
引用:TOKYO BRTホームページ
内装はこのような感じ。基本的な形状はデザインこそ異なりますがBAYSIDE BLUEと同じです。降車ボタンも確認できます。
「日常」という言葉が用いられていることからか落ち着いたデザインが採用されていますね。
一方で「燃料電池バス(車両名:SORA)」は2019年3月1日から、大井町駅~お台場地区を結ぶ路線バスとして運行されています。運行事業者は京浜急行バスです。
こちらもよく見ると同じバスであることがわかります。燃料電池バス(FCバス)は燃料が水素・動力源はモーターです。環境に配慮されることを前提に、災害時に電源としても活用できるバスとして開発されています。
東京臨海エリアは東京で最も早くスマートシティ化が実現されるかもしれません。
乗り場の案内
それではプレ運行(一次)における停留施設場所をご紹介しましょう。現段階では通常の路線バスと同様に前扉からの乗車となりますが、将来的には全ての扉からの乗降・現金収受を行わない方式を目指しているそうです。
虎ノ門ヒルズ
虎ノ門ヒルズは2020年6月6日に「虎ノ門ヒルズ駅(東京メトロ 日比谷線)」として新駅も開業しており、最も注目度の高いエリアの一つと言えます。
TOKYO BRTは2020年6月11日に開業した「虎ノ門ヒルズ ビジネスタワー」に発着します。東京の街並みは変化が激しいと思っていましたが、虎ノ門エリアの発展は特に凄まじいですね。
あんな狭いエリアによくもまぁ…というのが個人的な印象です(笑)
わかりづらいのでGoogleマップを記載しておきます。
時刻表を見てみると1時間に3本程度の運行に留めているようです。時刻表などの詳細はこちら(https://tokyo-brt.co.jp/bus-stops/b11-toranomon-hills)でご確認ください。
新橋
言わずと知れた「サラリーマンの街」ですが、停留施設は「ゆりかもめ 新橋駅」の真下になります。
停留施設ナンバリングが「B01」とあるように、おそらくTOKYO BRTのメイン停留施設になると思われます。
新橋ではすでにほぼイメージ通りの停留施設が設置されていますが、フルスペックを発揮するのは本格運行開始時になりそうです。
時刻表・Googleマップなどはこちら(https://tokyo-brt.co.jp/bus-stops/b01-shimbashi)をどうそ。
勝どきBRT
「都営大江戸線 勝どき駅」とはちょっと離れた場所に停留施設が設けられています。
すぐ近くにタワーマンションがありますので、住居者・地域の新たな移動手段としての側面がいよいよ強くなってきます。
時刻表・Googleマップなどはこちら(https://tokyo-brt.co.jp/bus-stops/b02-Kachidoki-brt)をどうそ。
晴海BRTターミナル
鉄道空白地帯「晴海」にBRTターミナルが設けられました。もちろん晴海エリアにも路線バスは走っているのですが、次世代モビリティに「晴海」という場所がターミナルとして機能するのは大きな変化と言えるでしょう。
時刻表・Googleマップなどはこちら(https://tokyo-brt.co.jp/bus-stops/b22-harumi-brt-terminal)をどうそ。
少し離れていますが、晴海埠頭には客船ターミナルが機能しています。
本格運行に向けて
TOKYO BRTは今後の本格運行に向け、環二通りを中心にBRTの整備を推し進めていくとしています。
ここまでご紹介した内容が『プレ運行(一次)』なのですが、『プレ運行(二次)』を挟み『本格運行』を計画しています。
プレ運行(二次)ルート
東京2020大会後に予定されているのが『プレ運行(二次)』です。
プレ運行(一次)に「豊洲」「有明」「台場(一部)」が追加されたイメージですね。「ゆりかもめ」との分散化が期待できます。「りんかい線」とも接続するので多方面とのアクセス性自由度が向上します。
勝どきルートがいわゆる『一駅で終点』スタイルですが、これは鉄道で言う『遠近分離』に近い運用方法ではないでしょうか。混雑緩和と回転率向上を図る狙いがあると推測できます。
本格運行ルート
2022年度以降に『本格運行』を開始する予定です。
すでに検討路線が表示されていることから、本格運行以降もさらなる発展が期待できます。
「選手村ルート」とありますが、ここは東京2020大会後は一般住居地区として分譲されることが確定しています。つまり居住者が増加されると見越しての設定だと思われます。
まとめ
日本のMaaSは各地で様々な手段が検討・実証試験が行われていると思いますが、BRTもまた日本のMaaSを支える移動手段になると思います。
私の勝手な想像では、路線バス内では自らスマホ等で検索をしないと他の情報を得ることはできないのですが、次世代モビリティは例えば他の路線の運行情報をリアルタイムで提供することも可能なはずです。
いち早い情報の取得はその後の移動プランの変更もスムーズに行え、結果的に快適な移動手段の実現を可能にするとも言えます。
それぞれの地域に適した移動手段の確立を。BRTはその手段の雛形の一つになるかもしれません。