いつもご覧くださりありがとうございます。溝口将太です。
今でも東武特急=スペーシアと認識されている方は多いのではないでしょうか。1990年6月に東武100系は特急「スペーシア」としてデビューしましたが、30年以上が経過し”次なるフラッグシップ車両”が求められました。
そして2021年11月11日に100系スペーシアの後継とされる新型車両「N100系」の導入が報道公開され、2022年7月15日には愛称が『スペーシアX』となることが公開されました。
私はよく鬼怒川温泉に癒されに行くので東武特急は無視できない存在です。愛称と同時にシート概要・特急料金・特別座席料金も報道公開されているので合わせてお伝えしたいと思います。
まずは以下の動画をご覧ください。
出典:東武鉄道/YouTube
新型スペーシアの愛称は『スペーシアX(SPACIA X)』に決定
出典:東武鉄道
お伝えしている通り、東武鉄道から新型車両(新型特急型車両)「N100系」がデビューします。愛称は『スペーシアX』。スペーシアとは”「SPACE(空間・宇宙)」に「IA」を加え固有名詞化したもの”されていますが、もう一説には温泉を意味する「SPA」も表現されているそうです。
そこに「X」が加わりますが、こちらは以下のような意味合いだそうです。
「X」の着想
・車両エクステリアデザインにモチーフとして取り入れた鹿沼組子の象徴的な「X」模様
・新型車両による旅体験(Experience)を表す「X」
・新型車両がお客様に提供する様々な価値を表す「X」
→Excellent, Extra, Exciting, Extreme, Exceed・・・
・新型車両が、文化や人々が交わり(cross = 「X」)縁をつくる存在であること
・新型車両が、未知なる(X)可能性を秘めた存在であること
引用:東武鉄道
出典:鹿沼市
また、『スペーシアX』の愛称ロゴは車両エクステリアデザインと統一性を持たせるため、「鹿沼組子」をイメージした書体を新規開発・作成されたそうです。
デビューを果たした特急「スペーシアX」に乗車しました。鬼怒川温泉行き一番列車です。
運行情報 2023年7月15日にデビューへ
出典:東武鉄道
特設サイトに公開されている運行情報を記すと以下の通りになります。
運行開始日
2023年7月15日(土)
運行区間
東武スカイツリーライン・日光線・鬼怒川線
(浅草ー東武日光・鬼怒川温泉)
停車駅
浅草・とうきょうスカイツリー・北千住・春日部・栃木・新鹿沼・下今市
下今市で行き先が分かれます
東武日光
東武ワールドスクウェア・鬼怒川温泉
運行日・頻度
毎日2~4往復(予定)
完全自社内運行ということになります。現状ではJR新宿方面や会津方面への直通はありません。
シートのバリュエーションはなんと6種類 特急料金のほかに「特別座席料金」が設定される
ちょっとわかりづらいかもしれませんが、スペーシアXには特急料金の他に「特別座席料金」が設定されます。
特別座席料金は特急料金(スタンダードシート料金)にさらに追加で発生する料金で、「コックピットラウンジ」「ボックスシート」「コンパートメント」「コックピットスイート」を利用する際に必要です。
以下のシートバリュエーションのご紹介でそれぞれの特急料金・特別座席料金も記載します。なお、東武鉄道のHPには特急料金・特別座席料金の記載は見当たりませんが、報道公開はされているのでこちらでも記載することにしました。
また、報道公開されている特急料金は浅草ー東武日光とされていますが、おそらく浅草ー鬼怒川温泉も同額だと思われます。
出典:東武鉄道
スペーシアXで提供されるシートはなんと6種類にも及びます。改めて名称を列挙すると「スタンダードシート」「プレミアムシート」「コックピットラウンジ」「ボックスシート」「コンパートメント」「コックピットスイート」です。
「スタンダードシート」「プレミアムシート」はいわゆる特急型車両でイメージされるシートです。「ボックスシート」は半個室、「コンパートメント」「コックピットスイート」は完全個室となります。
現行スペーシアにも特急料金が発生し、特急券を購入することになっていますが、同じ仕組みがスペーシアXのスタンダードシートとプレミアムシートにも充当されます。
それぞれ見てみましょう。
最新版をまとめました。以下のブログでより詳細にまとめています。
5号車~3号車はスタンダードシート 全130席設置
出典:東武鉄道
最もスタンダードなシートは現行スペーシアと同等のシートピッチ1100㎜を確保。コンセントの有無は不明ですが全130席設置されます。
スタンダードシート
特急料金:1,940円
2023年7月18日追記
スペーシアXデビュー当日、スタンダードシートを利用しています。乗り心地・PC作業環境、特急「スペーシア」との比較も記載。
2号車にはプレミアムシートが登場 全35席設置
出典:東武鉄道
2+1列配置の大型シートはバックシェルが採用されているように見えます。コンセントも確認できます。
シートピッチは現行スペーシアを上回る1200㎜を実現。電動リクライニング・大型インアームテーブル・読書灯と快適性を備えたプレミアムシートは全35席。
プレミアムシート
特急料金:2,520円
現行スペーシアの特急料金は平日:1,360円(土休日:1,470円)、リバティの特急料金は全日:1,470円です。しばらくは現行スペーシアも存続させると思われるので、間違いなくスペーシアXはフラッグシップ特急として位置付けられます。
以下でご紹介するシートには全て特別座席料金が発生します。
1号車にはカフェカウンターとコックピットラウンジと呼ばれるシート
カフェカウンター
出典:東武鉄道
「時を超えるラウンジ」をコンセプトとした気品高く落ち着きのある空間とされるカフェカウンターです。イベントやツアーなど活用の幅は広そうです。
コックピットラウンジ 全20席設置
出典:東武鉄道
カフェカウンターと同じ1号車にはコックピットラウンジが併設され、座席配置図から20席設置されることがわかります。内訳としては4人用のソファーが3か所、2人用のソファーが3か所、1人掛けの各種ソファーが2席となっています。
コックピットラウンジ
特別座席料金:1人用/200円・2人用/400円・4人用/800円
特急料金1,940円にそれぞれ加算
パソコン作業などを行いながらの移動はスタンダードシートかプレミアムシートを選択することになるでしょう。ただし後述しますが、コックピットラウンジは1号車なので、前面展望を目当てとした「かぶりつきシート」の1つはこちらになります。
5号車の一部にボックスシートを設置 全4席設置
出典:東武鉄道
ちょっと珍しいタイプのボックスシートです。「プライベート性のある半個室」として横幅80cmのシートが2シート向かい合います。5号車の東武日光寄りの端に全4席設けられ、1シート1人での利用が可能です。リクライニングやコンセントの有無は不明です。
ボックスシート(2人定員)
特別座席料金:400円/室
特急料金1,940円に加算(2名で利用する際は1,940円×2人+400円)
6号車は伝統を受け継ぐ個室号車
コンパートメント 全4室/1室4名まで利用可能
出典:東武鉄道
「コの字型ソファーと可変テーブルで、4名がゆとりをもって過ごせる空間」として現行スペーシアの個室伝統を継承しつつ進化させています。用途に合わせてテーブルのレイアウトを変更させることができるようです。
コンパートメント(4人定員)
特別座席料金:6,040円/室
特急料金1,940円に加算(4名で1室を利用する場合は1,940円×4人+6,040円)
なお、現行スペーシアのコンパートメント6室に対してスペーシアXは4室となります。現行スペーシアの個室料金は平日:3,150円/室(土休日:3,770円/室)なのでかなりの値上がりになりますね。
コックピットスイート 全1室/7名まで利用可能
出典:東武鉄道
スペーシアXの目玉の1つでしょうか。1号車の先端(浅草寄り)には私鉄特急最大の11㎡の個室「コックピットスイート」が登場します。「前方・側面の窓が大きく、展望を楽しみながら贅沢な旅のひとときを」として最大7名での利用が可能です。
コックピットスイート(7人定員)
特別座席料金:12,180円/室
特急料金1,940円に加算(7名で利用する場合は1,940円×7人+12,180円)
また、先頭車両かつ全面展望が楽しめる”超贅沢なかぶりつきシート(かぶりつきルーム?)”とも言えるでしょう。間違いなく1人で利用する猛者が現れます(笑)
気になったのは画像では運転台などが見当たりませんが…まぁいずれ実車で確認することになるでしょう。
先頭の「かぶりつきシート」は全部で3席
鉄道ファンにとって見逃せないのが「展望席」ですよね。「かぶりつきシート」などと言われますがこのスペーシアXではかなりレアのケースになりそうです。
というのも、前面展望を楽しむのならば1号車と6号車になるわけですが、6号車はお伝えしている通り最も料金設定が高額になると思われるコックピットスイート。そして1号車がコックピットラウンジにあたるからです。
浅草⇒東武日光・鬼怒川温泉
下りはコックピットラウンジ(1号車)の1名掛けシート×2
東武日光・鬼怒川温泉⇒浅草
上りはコックピットスート(6号車・7名乗車の個室)
しつこいですが「コックピットスイートを1人で利用してみた」という猛者が現れるのも時間やタイミングの問題でしょう(笑)
現行のスペーシアと座席数を比較
現行のスペーシア 筆者撮影
せっかく(?)なのでスペーシアXとスペーシアの座席数を比較してみました。
出典:東武鉄道
こちらは現行スペーシアの座席配置図。これを元に個室・シートの座席数と乗車可能人数を割り出してみます。
先ずは個室からですが、現行スペーシアの6号車個室は4人×6室で24名が利用可能です。
個室の比較
スペーシアX:コックピットスイート1室×7人+コンパートメント4室×4人=23人
現行スペーシア:コンパートメント6室×4人=24人
続いてシート数の比較ですが、現行スペーシアは5号車64名・4号車56名・3号車32名・2号車64名・1号車44名という座席数なので、合計を比較すると以下のようになります。
シート数の比較
スペーシアX:189席(ボックスシートを4名として、コックピットラウンジ20席を含む)
現行スペーシア:260席
71名分の差が生じることがわかります。以上を踏まえて乗車可能人数をまとめると…
乗車可能人数の比較
スペーシアX:212人
現行スペーシア:284人
合計72名分少なくなることがわかります。
まとめ
結び
現行スペーシアでも十分快適な空間・移動時間を提供しているとは思いますが、コンセントや背面テーブルが無いなど他の最新特急型車両に利便性で劣ることは確かでした。そして老朽化も見る人が見ればわかってしまうのも否めません。
そこで登場することになる新型特急型車両N100系「スペーシアX」…乗車時間は最大で2時間少々だと思いますが、他社にはない移動空間・時間を提供してくれることを期待しながらあと1年、待ちたいと思います。
今後は試運転などで目撃例が多数現れると思いますが、運行デビューは2023年7月15日(土)です。
参考出典リンク集
スペーシアX特設サイト:https://www.tobu.co.jp/spaciax/