いつもご覧くださりありがとうございます。溝口将太です。
最近、タクシー業界からの情報を可能な限り集めていました。コロナ禍でタクシー会社への就職を希望する方もそれなりに多いとは聞いていますが、タクシー側も稼働台数を控える傾向にあり無事職に就けるかどうかはタイミングや運次第といったところです。
しかし事業者はいつまでも稼働を抑えていられるわけではありません。いずれ通常の稼働率に戻すためにもドライバーを確保しておきたいのも本音のはず。そこで今回はドライバー目線で今後の仕事の在り方と求められる人材について記載したいと思います。
仕事の在り方は原点回帰か
タクシーが売上を積み上げる方法はいくつかありますが、今後は原点回帰への流れが見受けられます。それはどういうことなのでしょうか。特殊な事例を除いて売上を確保する方法に『流し営業』『付け待ち営業』『無線営業』が挙げられます。
例年の『美味しい仕事』は今年は難しい
通常、世間のお盆休み期間は稼働台数自体が少なく、うまくやればそれなりに稼げるというのが東京のタクシーのお盆期間です。
東京で言えば東京駅や羽田空港などをフル活用。観光客を中心とした繁華街での営業。お墓参りを目的とした長距離対応…など、普段とは違ったアプローチで売上を積み上げていました。
乗客も普段は東京でタクシーに乗ることがないので距離感がなく、「電車で行けばいいのに…」という場面でもタクシーを利用されるケースが多いのです。まぁその分「銀座から有楽町まで」という歩いて数分のような依頼も出てくるのですが…。
『お化け』と呼ばれる超ロング対応も意外と発生しやすい時期でもありました。例えば「ディズニーリゾートで夢中になりすぎて東京駅から発車する夜行バスに間に合わなかった」などです。
しかし東京の今年の夏は特別な夏ということで飛行機の利用率は国内線で50%台、東海道新幹線の乗車率は自由席で30%台…例年のお盆期間では考えられない数字です。
これは羽田空港や東京駅などで付け待ちをしても厳しい結果になる可能性が高いということです。
近日の営業回数が40件以上も続出
しかし話を伺ってみると、どうやら営業回数が1日40件を超える人が続出しているそうです。これは最近の異常なまでの外気温も大きく関わっていると思われます。
東京都心でも日中の気温が35度を上回り、クルマの外気温度計も40度を示すこともありました。都心はヒートアイランド現象で体感的にはより暑く感じると思います。
そんな中、短距離の移動においてもタクシーがより求められるようになったと言えます。
短距離とはいえタクシー需要が限定的に増した一方でタクシーの稼働台数自体は減少しています。「何十年振りかに1時間に8件乗せたよ…」というドライバーもいたそうです。
9月以降は多少は涼しくなると思いますが、タクシーの短距離移動の需要は新型コロナウイルス感染症対策の一環としてある程度は求められ続けると思います。
私も体感してみましたが、「JPNタクシー」でも感染防止シートを境に前席と後席とでは車内温度に差がありました。前席は丁度良くても後席はちょっと暑いかな…と。しばらくは車内温度の設定に気をつかうことになりそうです。
「JPNタクシー」には前席のエアコンから発する空気を後席へ送る「サーキュレーター」があります。しかし冷たい空気は下へ溜まる性質がありますので前席の空気ほど冷たい風は流れていきません。空間も後席の方が広いので冷えにくいのでしょう。
流し営業がタクシーの原点
営業回数が多いということは客単価は低いということになります。人それぞれ考え方はあると思いますが、営業回数が少なく売上が上がる方が仕事としては楽です。心にもゆとりが生まれやすいとも言えます。
しかしこのご時世、長距離は絶望的と言えるくらい望めなくなりました。回数で数字を積み上げるしかありません。そのためには『流し営業』が基本となり、元々は『タクシー=流し』と言われていた原点回帰への傾向が見られているのです。
単純に…平均客単価が1,000円だとしても、営業回数が50回ならば売上は5万円になるわけです。50回って相当大変ですけどね…。。
そして今後タクシー会社に求められる人材のポイントがここにあると思われます。
『無線営業』に関しては流し営業の合間に無線を取る…というのが現状です。コロナ禍の前は「ある時間・ある場所に行けば常連の高単価無線」も狙えたものですが、今はそれもほとんど通用しなくなりました。『付け待ち営業』もほぼ同じことが言えます。
これからのタクシーに求められる人材
近年では大学生を対象に卒業後の就職先にタクシー会社を提案する動きが活発化しています。
しかし幹部候補として若手の育成に力を注ぐ傾向にありますが、今でもタクシー業界が特殊な業界・環境であることには変わりありません。
個人的にはタクシーをやるならそれなりの社会経験を積んでからの方が…とも思っています。理由はそれ相応の対応力を現場で即座に独りで求められることも少なくないからです。「上役に確認します」が原則通用しない世界なのです。
それでは今後のタクシー業界にはどのような人材が求められるのでしょうか。
真面目な人
一言で『真面目な人』と言われても…と思いますので簡単に説明します。タクシー会社にとって優秀な乗務員とは『(それなりの)売上』『無事故』『無違反』『無苦情』『勤務態度(無断欠勤の有無など)』を高バランスで維持できる人です。
求められる人材としては当たり前のような気もしますが、意外と全てをバランスできる人は多くありません。
例えば、『売上』が高い人は多くのリスクと直面しているとも言えるので『交通違反』を犯してしまうことも多いです。さらに早い段階で自身の売上目標を達成させてしまうので『勤務態度』が若干疎かになる傾向もあります。
まぁその辺りの柔軟性がタクシーの魅力の一つでもありますが、乗務員と管理職が相反してしまう要素の一つでもあるわけです。
私はすぐに心が折れていましたが、最も大事なのはどんなに短い乗客が続いても腐らない心です。諦めなければ悪くてもそれなりの結果で締めることができます。届かなった分は次回に取り戻そうとする『前向きな心』です。
時流を理解し受け止め使いこなせる人
タクシーの仕事の基本は今後も変わらないと思いますが、IT化を軸に増々複雑化すると思われます。それを理解し、上手に使いこなせるかどうかで仕事の効率も変わるでしょう。
私はある企業にドライバー目線でタクシーのIT化tを活用、MaaSへの組み込みを前提としたサービスの相談を受け提案をさせて頂いています。
顧客が事業者なのかドライバー単位になるのかはまだわかりませんが、メインはドライバーの効率的な売上構築への実現が目的です。
同時にタクシー利用者にとっても決して悪くないものになるはずですので、ドライバーのみなさんは『情報は生もの』ということで業務中は常にアンテナを光らせていてほしいと思います。
Twitterで鉄道路線の状況を検索するだけでも有効です。
まとめ
最近はタクシーによるデリバリーサービス・買い物代行・墓参り代行…といったその地域の特徴が表れそうな提案がなされています。タクシーも生き残りを賭けて様々なサービスを提案しています。
個人的にちょっと違うかなと思うのが「墓参り代行」です。私なら墓参り代行というよりは依頼者がせめて自宅でも手を合わせられるようなオンラインお墓参りとさせますけどね…。手間を考えると致し方ないのかもしれませんが…。
タクシーの基本は流し営業であり原点に立ち返りそうな傾向にありますが、同時にIT技術を駆使した様々なサービスも提案されると思います。
デリバリーも代行も言ってしまえばマッチングです。その時、ドライバーが売上構築のためにうまく活用できるかどうか…タクシーになんでもかんでもお願いするのは大変だとは思いますが、柔軟性を持って応じてくれるドライバーも求められているわけです。