いつもご覧くださりありがとうございます。溝口将太です。
今回は前回の予告通り、最近の歩行者等の妨害の取り締まりについてまとめてみたいと思います。
みなさんは歩行者妨害(歩行者等の妨害)って聞いたことはありますか?
実は多くの自動車等が無意識に行ってしまっている道路交通法違反で、最近ではメディアに取り上げられるなど注目度も上がっています。少しずつ内容を追ってみましょう。
目次
歩行者等の妨害が注目されるようになったワケ
近年、なぜ歩行者等の妨害が注目をされるようになったのでしょうか?
出典:YouTube
ご覧の映像は参考程度ですが、実は全国平均で9割以上のクルマがおそらく無意識にですが歩行者の通行を妨げているようです。
当然、通勤・通学の時間帯はお互いが慌ただしいので自然と事故発生率も上がってしまうのですが、実はこの他にインバウンド対応を視野に入れているという事情もあります。
私の知る限りですが、海外、特にドイツをはじめとしたヨーロッパでは横断歩道においては歩行者優先が当たり前のように浸透しているそうです。彼らが来日された際は「まったくクルマに譲ってもらえずで驚いた」という声も上がっているほどです。
逆に横断歩道で外国の方に横断を譲ると高確率で会釈を返してくれます。覚えがある方も多いのではないでしょうか。
2020年はオリンピックイヤーでもあります。世界中から多くの方々が来日される中、日本のクルマは歩行者にちっとも優しくしてくれない…そのような現状をなんとかしなければならないと全国の警察が厳しい取り締まりを実施するようになったのです。
タクシーに対する厳しい取り締まりと違反内容
知り合いのタクシードライバーに話を伺うと、やはり最近の違反で最も多いのがこの歩行者等の妨害だそうです。冗談抜きに毎週誰かしらが取り締まられて帰ってくるそうです。
恥ずかしながら私も2018年の11月にプライベートでやらかしました。。。
今でも日暮里駅前はよく白バイが見張っているので注意してください(笑)
タクシーは目の敵にされている
少し前までは一般車に対する歩行者等の妨害はそれ程厳しくありませんでしたが、タクシーに対する取り締まりは一定数の報告がありました。私が現役時代の頃も歩行者妨害で切符を切られたという話は聞いていました。
中には歩行者に譲ってもらったという主張で簡易裁判所(通称、交通裁判所)まで出向いた者もいました。その結果は反則金の納付は免れたが違反点数は加点されたというものだったと記憶しています。酷いですよね。
タクシーに対する取り締まりは以前からも多かったです。
これは表向きは「タクシーは2種免許なのだから周囲の手本にならなければならない」というごもっともな理由で取り締まりを行っていましたが、その裏には街中を走行するタクシーの台数を減らしたいという思惑がありました。
今でもそうでしょう。その理由はやはりタクシーが絡む事故が多いからです。
タクシーが事故を減らすにはどうするか?⇒タクシーの台数を減らせばいい⇒違反で集中的に取り締まろう
という図式が成り立つのです。
違反内容
しかし時には交通違反を起こしてしまうものです。もし歩行者等の妨害で取り締まりを受けた場合、免許証やお財布にどのような影響を及ぼしてしまうのでしょうか。以下に簡単に記載しておきます。
横断歩道等における歩行者等の優先
罰則 | 3月以下の懲役又は5万円以下の罰金 |
反則金 | 普通車は9千円 |
基礎点数(加点点数) | 2点 |
横断歩道のない交差点における歩行者の優先
罰則 | 3月以下の懲役又は5万円以下の罰金 |
反則金 | 普通車は9千円 |
基礎点数(加点点数) | 2点 |
『罰則』とありますが、単にこれらの道交法違反で取り締まられても罰則が適用されることはほぼありません。交通課の警察官に伺ったところ、
「もし適用されるとしたら…上記違反が原因で交通事故が発生した場合、もしくは同違反を再三に渡り繰り返している場合が該当するでしょう。罰則に関しては検察庁の管轄になるので、〇〇になったら罰則が適用されると正確に答えることはできない」とのことです。
基本的には加点点数が2点・反則金が9千円と覚えておけばよいでしょう。ちなみにこれは軽微な違反にあたります。『横断歩道のない交差点における歩行者の優先』については下記で解説します。
都筑警察署へお邪魔してみた
今回のブログを作成する上で、私自身も疑問に感じたことがありました。
そこでその道のプロに伺うことがより充実した内容をお届けできるだろうと思い、ご迷惑をおかけすることを承知で警察署へお邪魔しました。
私が道交法のことで疑問を感じるとだいたい新宿警察署へ問い合わせているのですが、今回は地元に帰る機会があったので都筑警察署へお邪魔しました。
担当された方はタクシー会社等への講習を行うお巡りさんで、同じ人前に立ち話す役割を担う者としてはとても勉強になりました。1時間程度もお時間を頂戴し、雑談も含め非常に充実した時間を過ごせました。改めてこの場においても御礼申し上げます。
歩行者等の「等」ってなに?
第三十八条 車両等は、横断歩道又は自転車横断帯(以下この条において「横断歩道等」という。)に接近する場合には、当該横断歩道等を通過する際に当該横断歩道等によりその進路の前方を横断しようとする歩行者又は自転車(以下この条において「歩行者等」という。)がないことが明らかな場合を除き、当該横断歩道等の直前(道路標識等による停止線が設けられているときは、その停止線の直前。以下この項において同じ。)で停止することができるような速度で進行しなければならない。この場合において、横断歩道等によりその進路の前方を横断し、又は横断しようとする歩行者等があるときは、当該横断歩道等の直前で一時停止し、かつ、その通行を妨げないようにしなければならない。
まず確認させて頂いたのがこちらです。今回は車両と歩行者にスポットを当ててまとめていますが、道路交通法を見てみると『歩行者等』と記載されています…これは自転車も含まれているということです。
また、『横断歩道等』とも記載されていますが、これは横断歩道の他に自転車横断帯が含まれているということを意味します。
つまり、横断歩道に自転車横断帯があったり、自転車横断帯のみがある場合(上記画像は渋谷駅東口交差点)では自転車も歩行者同様に優先となります。
自転車横断帯のない横断歩道では自転車は優先?
では、自転車横断帯のない横断歩道で自転車が渡ろうとしている場合…自動車等は自転車に譲る必要があるのでしょうか?
「自転車横断帯のない横断歩道で自転車が渡ろうとしている時、自動車等は譲らなければならないのですか?」と質問してみました。
結論から申し上げますと、
「譲る義務はありません」
とのことです。説明を受けましたので以下のようにまとめておきました。
「(道交法上では)横断歩道は歩行者が道路を安全に横断するためのものです。自転車はその範囲に含まれないということになります。ただし、自転車を降りている場合は歩行者になりますので注意が必要です」とのことでした。
横断歩道のない交差点における歩行者の優先
聞き慣れない言葉かもしれません。なんのこっちゃと感じられている方も多いと思いますので簡単に解説します。
第三十八条の二 車両等は、交差点又はその直近で横断歩道の設けられていない場所において歩行者が道路を横断しているときは、その歩行者の通行を妨げてはならない。
すぐ目の前にT字路がありますが、こちらが横断歩道のない交差点の一例です。T字路も交差点と定義されています。主に生活道路や都心部では繁華街にも多いですね。
また、『交差点又はその直近』とは交差点及びその前後5メートル以内とされています。裏路地で歩行者に通行を譲らずに進行している方、多いのではないでしょうか。
歩行者等の妨害になる境目は?
みなさんが一番気になるポイントだと思います。歩行者等の妨害を指摘されて納得できない方もいらっしゃるでしょう。
私も疑問に感じていたので「そもそも歩行者等の妨害になる境目・基準のようなものはあるのですか?」と聞いてみました。なお、場面としては自転車横断帯も含まれる横断歩道等とします。
答えは道路交通法を見ればすぐにわかることなのですが、正直驚きました。
「車線が片側1車線の交差点だろうと、片側3車線の大きな交差点だろうと、歩行者等が存在していれば譲らなければならない。〇m離れているから車両等が先に進行しては良いというルールはありません」
つまり、片側3車線程の大きな交差点を左折・右折する際でも、横断歩道等の端に歩行者等が認められれば一時停止をして譲る必要があるということです。
もちろんその後に歩行者等が渡らないのであれば進行は可能なのですが、離れているからといって先に進行してしまうと歩行者妨害等として取り締まりの対象になるということです。
つまり境目は横断歩道等を横断しようとする歩行者等・横断している歩行者等が存在するかしないかです。しかし途中に安全地帯が設けられていればその限りではないと言えそうです。安全地帯は横断歩道等ではないからです。
最後に伝言を預かっていますのでこちらに記載させていただきます。
「道路はたくさんの方々が利用する公道です。みなさんが譲り合いの気持ちを忘れず事故を未然に防げるようになればこれほど便利な移動手段はありません」
最後に「道路交通法も細かいところではよく改正されています。直近では“ながら運転の罰則等強化”ですね。たまには覗いてみると面白いかもしれません」とアドバイスを頂戴しました。私も同じ気持ちなのですが、確かに道交法は面白いです(笑)
ちなみに、信号機のある交差点では信号の指示に従うことになります。歩行者用・自動車等用の信号がどちらも青ならばもちろん歩行者が優先ですので右左折時は要注意です。先に横断させてあげてください。信号機付き交差点では歩行者用の信号から赤になりますよね。
信号機も自転車用があったり歩行者用と自転車用が一つになっていたりといろいろあります。臨機応変に対応してください。
まとめ
結び
いかがでしたでしょうか。大雑把かもしれませんが歩行者等の妨害についてまとめてみました。
特に反対側にも歩行者等がいれば距離が離れていても一時停止をして譲らなければならないというのはみなさんにとっても参考になったのではないでしょうか。
今回のブログは道路を利用するすべての人が関わる内容です。特にドライバー側は今後も要注意です。つまらない違反で免許証にもお財布にもダメージを与えないようお気をつけください。
参考出典リンク集
警視庁:https://www.npa.go.jp/bureau/traffic/oudanhodou/info.html
道路交通法(e-GOV 法令検索):https://elaws.e-gov.go.jp/document?lawid=335AC0000000105#258