いつもご覧くださりありがとうございます。溝口将太です。
昨年(2022年)の11月ですが、日光東照宮エリアで面白いBEVバスを見つけたので乗車してみました。
ブログにするまでだいぶ期間が空いてしまったのですが、BEVという大きなカテゴリーで見てみるとこれも最適解の1つではないかと思いまとめてみました。
機会があればぜひ一度体験してみていただければと思います。
全国に広がりを見せる『グリーンスローモビリティ』
筆者撮影(撮影機種:iPhone14 Pro Max)
2022年(令和4年)4月27日から運行を開始した『日光グリーンスローモビリティ』。
国交省によると「グリーンスローモビリティは、時速20km未満で公道を走ることができる電動車を活用した小さな移動サービス」とのことで、私のような観光者から見れば「小さな観光周遊EVバス」でした。
もちろん地域の方の移動手段としても活用されているとは思いますが、観光資源の採掘という面でも非常に面白い移動手段だと感じます。
今回は日光グリーンスローモビリティを軸にグリーンスローモビリティについて見てみましょう。株式会社シンクトゥギャザー「eCOM-10」についても掘り下げています。
日光グリーンスローモビリティの運行概要
グリーンスローモビリティの運行概要
運行開始日:令和4年4月27日(水曜日)
運行期間:4月27日~11月30日
運行場所:日光地域 世界遺産地域~西町地域
運行ルート:下記のとおり
運行本数:1日8周
時刻表:下記のとおり
運行事業者:東武バス日光株式会社
運行車両:(株)シンクトゥギャザー社製 グリーンスローモビリティ eCOM-10
乗車定員:21名(着席は14名)
運賃・決済方法
運賃:1回150円(小学生は80円)
決済方法:現金・交通系ICカード・PayPay決済が可能
フリーパス:世界遺産巡り手形をはじめ、東武バス日光の各種フリーパスでの乗車も可能
運行期間について
運行期間は4月27日~11月30日なので2023年2月現在は運休中
日光グリーンスローモビリティの運行ルート
運行ルートは以下のようになっており、周遊バス形態なので始発地点が終着地点です。実際に乗ってみるとわかりますが、観光移動と地域の方の暮らしを上手にカバーしていると思います。
出典:日光市
運行ルート
日光山輪王寺(G1)⇒勝道上人像前(G2)⇒表参道(G3)⇒大猷院・二荒山神社前(G4)⇒西参道茶屋(G5)⇒西参道駐車場前(G6)⇒憾満ヶ淵・化け地蔵(G7)⇒ホテル日光千姫物語前(G8)⇒御用邸通り(G9)⇒日光田母沢御用邸記念公園前(G10)⇒金谷ホテル歴史館(G11)⇒西参道入口(G12)⇒日光山輪王寺(G1)
個人的には憾満ヶ淵・化け地蔵(G7)の前後、大谷川を渡る場面がよかったです。動画に収めているのでご紹介させていただきます。
出典:筆者のYouTubeチャンネル「モビリティクリエイトのページ 動画版」
株式会社シンクトゥギャザー 電気自動車「eCOM-10」
ここで『日光グリーンスローモビリティ』で使用されているEV(BEV)をご紹介しましょう。
車両は株式会社シンクトゥギャザー(群馬県桐生市)が製造・販売を行っている「eCOM-10」。左右合わせて10輪のタイヤかつ全輪駆動というなかなか面白い仕組みのBEVです。
スペックを以下に記載します。
諸元表
性能
最高速度:19㎞/h
一充電走行距離:約50㎞(19㎞/hで走行時)
モーター
種類:DCブラシレスインホイールモーター
最大出力:18.0kW(1.8kW×10)
最大トルク:55.0Nm(5.5Nm×10)
駆動方式:全輪駆動(全10輪駆動)
バッテリー
種類:リチウムポリマー電池
定格電圧:51V
定格電流:225A
定格容量:11.5kWh
充電
交流入力電源:単相(50/60Hz)
入力電圧:AC200V
充電時間:約9時間
筆者撮影(撮影機種:iPhone14 Pro Max)
”全10輪駆動”などよく見るとかなり面白いスペックを有していると思いますが、後続可能距離が約50㎞なので限定された運用に留まるのは間違いないでしょう。
以下をクリックすると主要諸元表をご覧になれます。
様々な納入実績 納入先では実証実験も行われている
2023年2月現在においても多数の納入実績を誇っています。
主に市役所からの受注が目立ちますが、私にとって身近なところでは京急電鉄への納車実績もあり、京急では昨年(2022年12月3日)に「グリスロで巡る関内探訪ツアー」と題して実証実験を行っています。関内なので横浜で実証実験を行ったことになります。
ちなみに京急電鉄へ納車された車両は「eCOM-10」ではなく「eCOM-82」という車両です。eCOM-10だけで見ると、登別市役所・大分市役所・日光市役所・伊豆箱根鉄道・豊島区などが挙げられます。
登別市役所へ納車されたeCOM-10は、AGC株式会と共同開発された世界初の「自動防曇Fガラス(曇らないガラス)」が採用されるなどアップグレードが図られています。これは「寒冷地向けの特別仕様」という位置づけだそうです。
ほかにも「eCOM-4」が陸前高田市役所へ納車されるなど車両タイプも様々。市民サービス・観光サービスとしての活躍が今後も期待できます。
日光グリーンスローモビリティに乗ってみて 観光資源としての可能性を感じた
もう一度走行動画を掲載します。
出典:筆者のYouTubeチャンネル「モビリティクリエイトのページ 動画版」
路線バスを利用すると思うことがあります。「エンジン音うるさいなぁ」「排ガス臭いなぁ」「振動大きいなぁ」と感じること、あると思います。一部では燃料電池バス(FCバス)の普及が進み従来の欠点を払拭している場面も見受けられますが、水素供給が前提のためまだまだ限定的。
グリーンスローモビリティは路線バスのような使い方はほぼ不可能ですが、地域の観光周遊バス・暮らしのミニバスのような運用には現時点での最適解の1つという印象を抱いています。
特に観光周遊バスとしては有効な観光資源になると考えます。静かで排ガスもなくゆっくり景色を眺めなが進む感覚は気持ちのいいものでした。
まとめ
結び
今回は『日光グリーンスローモビリティ』を軸にグリーンスローモビリティについてご紹介しました。もしかしたらみなさんの地元でも密かに導入されたり計画があったりするかもしれません。
まさか京急が導入して横浜(関内)で実証実験を行っていたなど夢にも思いませんでした。
一度の乗車定員は限定されると思いますが、移動に不便な地域での運行・観光資源としての活躍は今後も期待できる移動手段の最適解の1つになることを期待しています。
BEVにしかできないこと…あると思います。
参考出典リンク集
日光市:https://www.city.nikko.lg.jp/kouryuu/gms.html
東武バス株式会社による概要:https://www.tobu-bus.com/uploads/files/n_green_slow_mobility_hp.pdf
株式会社シンクトゥギャザー:https://www.ttcom.jp/
株式会社シンクトゥギャザー「eCOM-10」:https://www.ttcom.jp/products/current/ecom-10/
国土交通省:https://www.mlit.go.jp/sogoseisaku/environment/sosei_environment_fr_000139.html