いつもご覧くださりありがとうございます。溝口将太です。
オリンピック開催期間中の今、東京都内を始めとした各地を東京2020大会関係車両が走行しています。
都心を走るオリンピック関係車両を見ていて思う。「どう見てもプロの動きじゃない」。可能な限り近づかないことをお勧めします。僕も現場で滅茶苦茶な運転を目の当たりにしています。https://t.co/6xjZbmBmQ7
— 溝口将太 (@mizoimp) August 3, 2021
やはりというか予想していた…というのが私の本音ですが、この関係車両の事故が急増していることが報じられました。毎日新聞ではその件数は8月1日までに76件と報じられ、中には「(乗せていた)大会スタッフの送迎を優先した」という理由で事実上の当て逃げ事案も発生しています。
なぜこのような事故・事案が発生してしまうのでしょうか。私なりに考えてみます。
目次
一般ドライバーとプロドライバーとの明確な差
報じられている通り、大会関係車両の運転手にはボランティアを含めた一般ドライバーが務めていますが、中にはプロドライバーも参加しています。
プロドライバーとは東京エリアで働くタクシーやハイヤーのドライバーです。プロドライバーだから何かが優れている…などと論じるつもりはありませんが、一般ドライバーと比較すると少なくともハイヤードライバーは運転に慣れており、タクシードライバーはさらに東京近郊の地理にも慣れています。
この「慣れ」というのは決して危うい意味での「慣れ」ではなく、「知っているからこそ生まれる余裕」という意味での「慣れ」です。
この差は私から見ると大きいものだと感じていました。どう見ても車両の動きがプロではないのです。
そして実際に現場ではそれが如実に現れてしまいました。
事故が発生する原因
大会関係車両「トヨタ・MIRAI」 筆者撮影
該当記事には「大会スタッフの送迎を優先した」というもっともらしい言い訳が挙げられています。当事者としては確かにそうなのでしょう。
しかし私から言わせてもらえば、安心・安全に勝る優先順位などあってはならないのです。それを勘違いしているドライバーもダメですし、それを伝えることができていない組織委員会もダメだと思います。
さらに、実は大会開会車両はトヨタ自動車が提供(アルファード・ヴォクシー・カローラスポーツ・ミライ・レクサスESなど)していますが、ナビの設定が東京2020大会専用プログラムにアップデートされています。
こう聞くと「なんだ優れモノじゃん」と感じるかもしれませんが、これもなかなかのおバカ設定で、わざと迂回をさせるルートを進行させたり、さらには組織員会から「基本的にはナビ通り進行してください」と言われるのでその通りに進行するわけです。
するとどうなるか。どこかのスケジュールに遅れが生じ、どこかのスケジュールで時間的余裕がなくなり、東京という不慣れの道で焦りが生まれ、結果事故に結びついてしまうというわけです。
しかも私が見る限りドライバーのボランティア(なのか日当が発生するのかはわかりませんが)には外国人の方も起用されています。それ自体を否定するつもりはありませんが、やはり適材適所に人員を配置できているかというと…正直疑問ですね。
さらに、オリンピック期間に参加している知り合いのプロドライバーに話を聞くと、「私の今日の仕事は駐車場を1周しただけ。あとの時間は全て待機だった」という信じられない業務形態まで見えました。
もっとプロドライバーに送迎を任せるべきです。確かに「大会関係スタッフの送迎」とあることから身内の送迎に該当するので私がどうこう言うべきではないのですが…まぁもう少し考えるべきでしょうね。
首都高速もヘタクソ
以前のブログでも申し上げましたが、首都高ももう少し融通を利かせるべきです。
確かに首都高の交通量は例年同時期よりは減っているでしょう(それでも一般道の大渋滞に嫌気がさして利用しているマイカーも見受けられますが)。
しかし首都高の出口=大会会場ではありません。「出口=ほぼ大会会場」はそこそこあるのかもしれませんが、やはり高速を降りて渋滞中の一般道を抜けて会場へというパターンもあるのです。
もっと一般道の渋滞対策を講じるべきでした。例えば閉鎖中の入口でもタクシーやトラックといった事業用ナンバーの通行は認め交通の分散化を図るべきだったと私は思います。
東京2020大会の首都高についてはこちらをご覧ください。
再発防止策
起きてしまった事故は仕方ありません。大切なのはもう二度と事故を起こさないように教育を徹底することです。
具体的にはドライバー全体への事故内容の共有化・適材適所に人材を配置できているかの見直し・万が一事故が発生した場合の対処方法の見直しと教育です。
しかし言い方が悪くて申し訳ありませんが、それを取りまとめることができる人材があの組織委員会にいるとはちょっと思えません。
だから組織委員会がより報酬を負担してでもプロドライバーに任せるべきなのです。
まとめ
結び
今でもオリンピックスタジアム(国立競技場)近辺は慢性的な大渋滞に悩まされています。特に国道246号線(青山通り)は酷いものです。
スタッフの送迎にはある程度の余裕を持ってスケジュールが組み込まれているはずですが、予期せぬ遅延は都度発生するものです。
前に私に「(送迎の遅れや場所間違いなど)リオの時は酷かったらしいですよ」と言っていた関係者の方がいましたが、その程度の認識で準備を進めていたのなら…事故が発生するのも必然なのです。
ちなみに…ほとんどが「物損事故」とされているそうですが、そのほとんどが単独事故ではないはずです。相手の方が「怪我はない」としてくれているだけで、仮に被害者が全員、診断書を持参して警察署に駆け込み人身事故扱いを望むものならすべて「人身事故」になります。
もし私がやられたら、、、人身事故扱いにしてクルマの修理代・怪我の治療費と慰謝料を常識の範囲内で全て請求してやります。まぁ人身事故扱いにしなくても修理代・治療費・慰謝料を相手(の保険会社)に負担させることは可能ですが…。
とにかくこのままではネット上でのいい晒し者になってしまうでしょう。みなさんにおかれましては、くれぐれも大会関係車両には近づかないことをお勧めします。
参考出典リンク集
東京2020大会公式HP:https://olympics.com/tokyo-2020/ja/
毎日新聞 該当記事:https://news.yahoo.co.jp/articles/9316c00b47297be83e61228263eb91cf243dc611?tokyo2020