制限速度を守ることが明暗を分けることもある

いつもご覧くださりありがとうございます。溝口将太です。

詳しい日にちと場所は伏せますが、歩行者横断禁止場所で歩行者と自動車による接触事故が発生しました。

「歩行者横断禁止区域なんだから歩行者が悪いよね?」と思うのは当然ですが、日本の道路交通法は弱者救済の原則に伴い、警察はまず自動車側の過失を疑って捜査します。

その際に重要なキーアイテムがドライブレコーダーです。目撃者の証言も有効です。

しかしもっとも大切なことは制限速度を守っていたかどうかで、さらに言えば制限速度を守っていたことを証明できるかどうかなのです。

今回はドライブレコーダー、目撃者の証言、制限速度を守っていることの証明が重なり過失を回避できる交通事故のお話をお届けします。

横断禁止場所での交通事故

事故とは無関係の場所

今回とは別件ですが、2年前に東京の某所でバスを降車した女子高生が直後に横断禁止区域を横断して後方のタクシーと接触、背骨を複雑骨折してしまうという事故が発生しました。

当然、相手方の両親はタクシーの過失を主張するわけですが、制限速度50㎞/hの道路をタクシーは45㎞/hで走行していたことがドライブレコーダーやデジタルタコメーターなどの運行記録から証明ができ、加えて横断禁止区域である場所を横断、死角となるバスの前方からの飛び出しという事実から歩行者が加害者であると認められました。

決め手は制限速度を遵守していたということでした。その後、タクシー側が被害者として加害者側に訴えを起こしたかどうかはわかりませんが、少なくとも該当乗務員は刑事罰・行政罰ともに一切のお咎めはありませんでした(精神的には相当ダメージを負ったと私は推測していますが…)。

しかし逆に言えば制限速度を守っていなければタクシー側の過失が認められていた可能性があります。

理不尽な交通事故の代表例が「歩行者の信号無視横断による自動車との接触事故」ですが、これでも自動車側には安全運転義務違反が課され、場合によって人身事故扱いになるものなら行政罰・刑事罰ともに大きなものになることも珍しくありません。民事上の責任においては通例では自動車側に3割の過失割合が認められます。

実は歩行者の一方的な過失が認められるという事例は稀なことなのです。



飛び降り、倒れているところを…

今回の横断禁止場所での交通事故、発生時刻は18時30分という暗い時間帯でした。対向車のトラックが目撃者として以下のような証言をしています。

「道路を跨ぐ歩道橋から飛び降りたようだ」

まさかの飛び降りです。飛び降りて倒れているところを自動車が轢いてしまったという事故になります。自殺の可能性もあるわけですね。

しかし道路交通法は動機については基本的には触れません。「なぜ交通事故が起きたのか」に焦点を当てて捜査します。そして冒頭でお伝えした通り、弱者救済の原則から自動車側の過失を疑うところから捜査が進められます。

極論、私から言わせてもらえば飛び降りた人が一番悪いと思うわけですが、捜査方針としては「飛び降りた後を通過する車両は止まることができなかったのか」という視点で見分が行われるのです。

ここで重要になるのが「車両は止まれたのか止まれなかったのか」です。その線引きは「制限速度を守っていたのか守っていなかったのか」ということになります。

しかし、上空からの飛び出し(つまり飛び込み、飛び降り)に関しては側方からの飛び出しよりも慎重に捜査が行われるとされています。これは自動車側にとっては有利な話で、基本的には上空からの飛び降りに関しては予測不能という側面があるからです。

そこでポイントになるのが自動車の走行速度と飛び降り着地してから接触するまでの時間ということになりますが、現時点では制限速度50㎞/hのところを49㎞/hで走行していことが証明できていますので、自動車による道路交通法違反はいまのところ認められていません。

仮に、スピードが制限速度を超えていたら「制限速度を超えていたために止まれなかった」と結論付けられ、行政罰・刑事罰ともに大きな負担を強いられるところでした。

また、倒れていたところは横断禁止場所ですので倒れているとは言え本来は歩行者がいるはずのない場所なのです。認識に困難な暗い時間帯であることも大きな要因として挙げられるでしょう。

結論は私もまだ伺っていますせんが、お咎めなしになる可能性は高いと考えます。



まとめ

自動車側から見ても理不尽だと感じる交通事故は多数発生しています。

高速道路で故障車から降りた人が走行車線にはみ出して跳ねられ、走行車線を走行していたドライバーが逮捕されるというニュースを見たことがありますが、あれも理不尽だと感じる事故だと思います。

そんな万が一の交通事故で自身を救ってくれる可能性があるものがドライブレコーダーであり制限速度を遵守する心構えです。あまり言いたくはありませんが、車道への飛び降りは鉄道への飛び込みと同様に今後も増加すると思います。

速度の出し過ぎには十分ご注意ください。