いつもご覧くださりありがとうございます。溝口将太です。
2021年1月8日に発令された2度目の緊急事態宣言(東京・神奈川・千葉・埼玉の1都3県)、その後各県にも緊急事態宣言の発令が追加されていますが、今回のブログは1月8日~2月7日までの緊急事態宣言を軸としてタクシーの稼働状況並びに業界の現状をお伝えしたいと思います。
2度目の緊急事態宣言が発令後2週間が経過しましたが、東京・神奈川を見ているとその効果のほどは正直疑問を感じているというのが私の本音です。
【1月12日】日交・帝都・国際はフル稼働を表明
2021年1月12日、東京4社の『日本交通(日交)』『帝都自動車交通(帝都)』『国際自動車(㎞)』は緊急事態宣言中もフル稼働を行うと表明していました。
これは『東京ハイヤー・タクシー協会』の川鍋一郎会長(日本交通株式會社 代表取締役会長)の「医療従事者を輸送する必要がある」として各社に供給の確保を求めていたことに起因します。
これは各社に所属する乗務員が毎月11出番もしくは12出番を乗務することを意味しています。
しかし3社のブランドタクシー(の乗務員)全てが稼働するというわけではありません。
少々専門的な話になりますが、4社には4社各社が直接運営する『本体』と呼ばれる直営営業所と、4社各社の看板を利用してタクシーを運営する『グループ会社』に大別されています。
これはコンビニに例えるとわかりやすいかもしれませんが、本社が営業する店舗とフランチャイズ契約を結び営業する店舗との関係とほぼ同じです。
中にはグループ会社でありながら本体の人間が運営に携わる『本体直轄の子会社』も存在します。
そして今回のフル稼働表明に該当するのが本体直営の営業所及び本体直轄の子会社だと考えられます。グループ会社は基本的には各社のオーナーの判断に委ねることになっているはずです。
なお、「大和自動車交通(大和)」は50%の乗務員休業(50%の稼働とも言えます)を継続するとしています。
大手4社を除く各タクシー会社は50%前後の稼働削減、もしくは稼働全休といった体制を取っているそうです。
【1月18日】国際、稼働35%削減へ
緊急事態宣言の再発令から1週間、フル稼働を表明していた㎞タクシーは35%の稼働削減を掲示しました。
理由は乗務員一人当たりの営業収入(営収)の落ち込みに歯止めがかからないからです。㎞としては緊急事態宣言の再発令後のタクシー需要について1週間ほど様子を伺っていたのでしょう。
元々、社員第一主義が根強い会社です。乗務員の健康と経済状況をトータルで吟味した結果早急に方針を切り替えたということでしょう。立派なものです。
35%削減とは乗務員により多少異なる部分はありますが、㎞の方針としては月の隔日勤務11出番~12出番の乗務員に対しては4出番程度の休業を、感染症のリスクが高いとされる65歳以上の乗務員に対しては5出番程度の休業としました。
この措置には雇用調整助成金を活用することが見込まれており、おそらく1出番の休業に対して15,000円程度の補助金が国から事業者へ補填されるはずです。
誤解をされやすいのですが、1出番休業につき15,000円が乗務員に支払われるわけではなく、乗務員へはある時期の実績に応じた休業補償が事業主より支払われます。15,000円というには普通に考えたら赤字です。
確かに営収平均が盛り上がるタイミングはあるのですが、基本的には供給過多が度を超えています。
この動きに対して日本交通は「現状ではフル稼働を維持」として稼働削減の意向はないとしています。帝都に関しては特に情報が上がっていないのですが、日本交通と同様フル稼働を維持だと思われます。
【1月17日】日交労が動く
日本交通にはタクシー業界では有名な労働組合、『日本交通労働組合(日交労)』という組織があります。
私も昔は元日交労の顧問と親しくさせてもらいましたが、本当にいろいろなお話を伺い勉強になったことを今でも覚えています。その時に「タクシー会社ってクソだな」と教えてもらいました(笑)
まぁその辺りのお話はまたの別の機会として、その日交労が日本交通に対して休業要請を申し入れました。
また少々専門的な話になりますが、日交労という組織は自交総連に属している労働組合で、80団体が所属する自交総連東京地連の中でも規模としては最大級だと思われます。
会社にとって厄介なのは、これらの労働組合は横の繋がりが恐ろしいほどに強いということです。
例えば給与改定などの際に少しでも乗務員にとっておかしな規約を設けようものならすぐに他社との比較の上で指摘されます。それがまた正しい方向に指摘されるので会社側の担当者がポンコツなものなら簡単に丸め込まれます。
現に㎞が35%稼働を削減することが報じられたのは1月18日ですが、日交労が㎞の稼働削減を指摘した上で日本交通に休業要請の申し入れを行っているのが1月17日です。このスピード感には私も驚愕させられます。
日交労は正式な労働組合ですので、会社側はこの申し入れをスルーすることはできません。なんらかの交渉を行うと考えられます。
まとめ
本音を言いますと、川鍋さんのタクシーの供給確保の要請については日本交通が乗務員への休業補償に応じたくないだけではないかと思っています。こんなこと言うと怒られるかもしれませんが…。
現に相談を受けたのですが、「営収がまとまらない。でも休むこともできないのでとても辛い思いをしている」と寄せられました。
私には大したことはできないのですが、お話を伺った上で雇用調整助成金の活用・適正な運用がなされているかを確認しながら乗務員が足並みを揃えて会社と向き合うことが大切だ…みたいなことをお伝えさせていただきました。
飲食店への時短営業協力金6万円が何かと話題ではありますが、飲食店だけでなくタクシー業界も窮地に立たされている…ということをお伝えしました。
また、緊急事態宣言中の稼働台数は今後も減少すると思われます。その時、利用者のみなさんが困るタイミングは悪天候の時だと思います。特に大雪なんか降られるとどうしようもないと思います。
お出かけの際は天気予報にもご確認ください。
また、緊急事態宣言の再発令に疑問を感じているという点ですが、20時で飲食店が閉まるということは、お店にはその直前に人が密集します(現に先日、19時30分頃に訪れたとあるマクドナルドは超混雑でした)。
さらに通勤客が利用する鉄道も20時~21時前後は集中的に乗客が集まるのではないでしょうか。先日、相当混雑していた小田急線を見て果たしてこれが有効なのかどうか…ちょっと疑問に感じました。