いつもご覧くださりありがとうございます。溝口将太です。
2021年1月4日午後7時過ぎ、東京・渋谷区の笹塚1丁目で痛ましい事故が発生しました。
事故現場は住所は渋谷ですがどちらかというと新宿寄りです。国道20号(甲州街道)笹塚駅付近、オーバーパスと側道が合流した直後で、70代のドライバーが運転するタクシーが歩行者6名をはね1名が亡くなるというものです。
実は私はたまたま現場近くにいました。甲州街道と中野通りの交差点(笹塚交差点)では規制線が張られ、調布方面へは通行止めとなっていました。
程なくその事故がタクシーによるものと知ったのですが、どうやらドライバーの方はくも膜下出血で意識を失ったのではないかということです。
これは決して他人事ではないと思い、運行管理経験から得た知識や教えてもらった知識ではありますが、くも膜下出血には予兆がありますのでそれをお伝えしたいと思います。
くも膜下出血の予兆は片頭痛
私が知っている限りですが、くも膜下出血の予兆は片頭痛と言われています。具体的には後頭部の首の付け根辺りから水平的に鈍い痛みがじんわりとあると言われています。
ここで肩こりと勘違いしてしまう方が出てきてしまいますが、くも膜下出血の兆候です。
やっかいなのは肩こりと勘違いした場合、血行を良くしようと首の付け根をマッサージしてしまうのです。これは血行を促進しようと血管を揉むことになりますので当然危険です。
後頭部に鈍い痛みが発生した場合は、頭を下げないこと・水平を保ってお医者様に診てもらいに行くことが最終回避手段です。
頭を下げると血流が一気に頭の中に充満しれ、脳と頭蓋骨の間に血液の層ができます。脳を内側に圧迫してしまうのですね…これが脳障害を引き起こします。
そして実際に脳卒中系の病気を引き起こすと記憶障害・言語障害・機能障害といった後遺症が残る可能性が生じます。もしかすると今回の事故を起こしてしまったタクシードライバーは事故の記憶やその前後の記憶がないのかもしれません。
日頃の生活からある程度は予防できる
脳卒中系の予防は日頃の食生活である程度は出来ると言われています。良好な睡眠を確保することも重要です。
今回の事故を起こしてしまったタクシードライバーの方は睡眠不足、睡眠障害があった可能性も否定できません。
では食生活は当然として、なぜ良好な睡眠も重要なのでしょうか?
睡眠は血液の空気を注入しサラサラにする効果があります。しかし睡眠不足では血液がサラサラにならず、脳に無酸素の血液が送り込まれることになります。酸欠状態になりますよね。
脳が酸欠状態だと生あくびが多発するようになります。イメージとしては水槽の金魚が水面でパクパクと空気を吸うような…ちょっとオーバーでしょうか?
とにかくハードスケジュールで睡眠不足での運転中にあくびが連続的かつ頻繁に発生するようならば、15分でも構わないので仮眠を取るべきです。
余談ですが、質の悪い睡眠が続くと睡眠障害・無呼吸症候群といった病気を引き起こす可能性も高まります。
私の知り合いでも一人無呼吸症候群の人がいます。一緒に旅行したこともありますが、マジで死んでいるんじゃないかと思うくらい無呼吸だったりとんでもないいびきをかいたりの繰り返しでした。
そして水分補給
食事・睡眠と同じくらい重要なのが水分補給です。お茶やミネラルウォーターが手頃でしょうか。糖質の入ったものはできれば避けた方が無難です。
タクシードライバーはトイレに行く回数を減らそうとします。結果的に水分不足になりがちなのです。
脳梗塞などの対策としての水分補給の目安は1日1Lです。お酒を飲む方はなおのこと実践された方がいいとされています。
個人的には麦茶を1日1Lが手頃でミネラルも含んでいますのでちょうどいいと思っています。
タクシー会社は特別監査の対象に
ここまでざっと脳卒中系の予防についてご覧いただきました。
では事故を起こしてしまったタクシードライバー、タクシー会社は今後どのような対応を求められるのでしょうか。
ドライバーの方に対しては現在も入院中なので回復を待って事情を聴く方針だと思われます。現状での容疑は自動車運転処罰法違反(過失傷害)です。
タクシー会社に対しては死亡事故なので関東運輸局・東京運輸支局から特別監査の対象として監査を受けることになります。
当日の運行状況、点呼内容の調査・直前1~3か月の運行記録の提示(タコチャートの内容・休憩時間等のチェック)・運行日誌の内容・直前1年間の健康診断の状況…などが厳しく追及されます。
さらに今は車内カメラも搭載されていますのでこちらも解析されます。健康診断内容次第では処分より重くなります。
「通常」は処罰対象となり、保有車両の数十台の停止・事業点数の加算が主な代表的な処分です。事業点数は3年間消えず、もし3年以内にまた大きな事故、監査事案が発生し処罰の対象として認められ、事業点数が加算されてしまうと事業停止となる可能性もあります。事業点数は50点で事業停止処分となります。
社長以下役員、同族者の事業立ち上げも3年間禁止となります。総じて重い処分です。
「通常」というのは当然「例外」がありまして、例えば監査対象の事業者が福祉車両を有していたり、福祉事業を行っている会社だとするとその貢献度に応じて処分が軽減される仕組みになっています。
これは福祉車両を必要とする方々の移動を守るためでもありますが、実は監査時に処分を軽減、あるいは免れるために意図的に展開している事業者の存在もあると言われています。
まとめ
とても痛ましい事故でした。事故撲滅は永遠のテーマと言われているくらい難しい課題なのですが、案外表面化されていることも少なくありません。別の例では高齢者の方が高速道路を逆走して衝突、軽自動車を運転していた30代の男性が亡くなるという事故も発生してしまいました。
必要以上に責めるつもりはありませんが、高齢者の方自身もクルマの運転と今一度向き合うべきだと思います。
道路運送に携わる事業者は営業所全体で取り組むこと、一般の方々は個々の健康管理・マネジメントをしっかり行うこと。これができてようやく事故は減少傾向に差し掛かるのではないでしょうか。
このような重大事故が発生すると道路交通の取り締まりもさらに厳しくなります。