それでは走行インプレッションに移ります。インプレッサスポーツ STI Sportは誰もが一段と運転が上手になるクルマです。
上質なカーペットの上を走っているかのようなイメージ 荒れた路面が大好物の絶妙ダンパー
試乗コースは街中ではあるものの近くに流通団地があるため比較的大型トラックが多いエリア。そのため路面は綺麗とは言えずほぼ全行程が轍上になった荒れた道路となっています。
このインプレッサスポーツ STI Sportはそのような道路も”水を得た魚”のように快適に走行します。わざと速度を高めにして轍を通過しても突き上げ感がなく、まるで上質なカーペットの上を走っているかのようなイメージ。
それを実現できている要因はこちら。
出典:スバル
今でこそSGPは「フルインナーフレーム構造」を採用し第2世代へ進化していますが、2016年にフルモデルチェンジを実施した現行インプレッサのSGPは第1世代に当たります。
元々の素性が良いのもあると思いますが、インプレッサスポーツ STI Sportのフロントダンパー。これが素晴らしい働きをしています。ショーワ製(現:日立Astemo株式会社)のSFRD(周波数応答型ダンパー)をSTIがチューニングしたものですが、これには路面からダンパーに伝わる入力に対して減衰力を自動的に切り替える機能が備わっています。
これによって優れた操舵安定性と乗り心地を高いレベルで両立できるという仕組みです。
実際に深く荒れた路面や連続した浅く荒れた路面をわざと試させてもらいましたが、どの場面でも振動をマイルドかつ1発で衝撃を吸収してくれて乗り心地そのものは非常に快適でした。
コーナリングも安全を確認した上でわざと速度が乗った状態でステアリングを切ってみました。クルマの反応こそレヴォーグほどクイックではありませんが、車体の傾きは穏やかなのに想像以上にスムーズに曲がってくれる感覚は「スポーツカーの要素を含んだファミリーカー」と言えるものでした。
路面への程よい食いつき感はタイヤの性能も大きく関係していると思いますが、試乗した限りではこのADVAN Sport V105とSFRDの相性は抜群だと思います。
エンジン性能は特出したものは特になし Sモードでは十分な加速性能を発揮
インプレッサに搭載のFB20型直噴NAエンジン(FB20D) 筆者撮影
エンジンやトランスミッションの性能は2022年現在においては特出したものはありません。エンジンの回転数が先行する若干のラバーバンドフィールを感じさせる場面はありますがそれはSIドライブがIモードでの話。
Sモードに切り替えれば2.0Lクラス、街中走行においては十分な反応・加速性能を見せてくれます。
しかし気になってしまったのはロードノイズです。レヴォーグと比較すること自体ナンセンスかもしれませんが、中速域以降はホイールハウスに籠るような音が車内でかなり目立ちます。これは路面状況によって印象が変わる可能性がありますが、もの凄く静かというわけではないのは間違いないでしょう。
普段使いにおいては街中メインなら頼れる相棒に 特に女性にオススメしたいクルマ
街中での試乗走行なのでワインディングは試せていませんが、この足回りでAWDなら安定した走りを堪能できそうです。FFならばより軽快な走りを愉しめそうです。
個人的にお勧めしたいターゲットを挙げるとするならば女性です。5年ほど前にインプレッサG4を試乗した時はその走行性能の上質さに惚れましたがステアリング操作の重さだけは気になっていました。私は好きでしたが「これ、女性にはちょっとしんどいよな…」と感じたのを今でも覚えています。
しかし少なくともインプレッサスポーツ STI Sportでは改善されていました。だからといってステアリング操作に対して反応が雑に軽くなったわけではなく、ステアリング反力やタイヤの接地感を自然と伝えてくれるちょうどいいセッティングでした。
ただしレヴォーグ STI Sportほど”走る・”曲がる・止まる”においてダイレクト感はありません。ここが特に女性にお薦めしたい一番の理由です。良く言えば何気ない会話を楽しみリラックスしながら運転を愉しめるからです。
一点だけ不満を挙げさせてもらうと”止まる”のブレーキングです。理由はわかりませんがレヴォーグと比較すると若干カックンブレーキ気味ですね。まぁ慣れの範疇です。
比較対象がレヴォーグになると…やはり兄貴分は強かった
出典:スバル
インプレッサスポーツ STI Sportに試乗する数日前にレヴォーグ STI Sportに試乗しているので自然と”STI Sport対決”となってしまいましたが、やはり兄貴分は強かったというのが正直な感想です。
インプレッサのブログなので詳細は省きますが、一言でまとめてしまうと内装の質感や走行性能においてインプレッサの全てをさらに昇華させているのがレヴォーグです。
ただしそれは車両価格を考慮しない純粋な乗り比べであって、価格を考慮すると決してインプレッサ STI Sportが劣っているとは思いません。
まとめ
結び
かつてインプレッサはWRX STIと切っても切れない関係ではありましたが、今ではファミリーカーといしてのインプレッサとスポーツカーとしてのWRXと明確に分類されるまでに至っています。
それを思うとこのインプレッサスポーツ STI Sportは普段使いから高速道路、ワインディングまで日本のほとんどの道路においては誰もが上手に快適にドライブできる高バランスなクルマであることがわかりました。
噂段階ですがフルモデルチェンジが控えているインプレッサ。熟成されたモデル末期の現行インプレッサもオススメのモデルと言えそうです。
インプレッサスポーツ STI Sportの概要
スバル:インプレッサスポーツ STI Sport(AWD)
・ボディサイズ(㎜):全長4475×全幅1775×全高1455
・定員:5人乗り
・動力源:2.0L水平対向4気筒直噴NAエンジン
・駆動方式:アクティブトルクスプリットAWD
・燃料:レギュラーガソリン
・燃費:実燃費は12㎞/L前後と予想
・車両価格:2,959,000円(税込)
参考出典リンク集
インプレッサ STI Sport:https://www.subaru.jp/impreza/impreza/stisport.html
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