いつもご覧くださりありがとうございます。溝口将太です。
今回は警視庁がまとめている東京都内の交通人身事故件数・発生状況などをみなさんと共有できればと思いまとめてみました。令和2年上半期までのものですので2020年1月~6月の統計になります。
今回使用する資料はこちらになります。
令和2年上半期なお、この統計は「人身事故」になりますので「物損事故」は含まれていません。
目次
月別発生状況
まずは2020年上半期の統計から見ていきたいと思います。
コロナ禍により事故件数のペースは下降傾向か。しかし…
死者数
出典資料:警視庁
東京都内における昨年2019年の『交通事故による死者数(※)』は計133名ということになり、昨年の上半期時点での死者数は54名となっています。
2020年6月の時点で死者数は64名。残念ながら昨年の死者数を上回るペースではありますが、人身事故発生件数自体は昨年が15,635件に対し今年が11,662件と約4,000件下回っています。
人身事故の発生件数
出典資料:警視庁
負傷者数も4,727名下回っているので、死者数が増えてしまったというのは事故の件数ではなく事故の要因・対象者の属性によるものと言えそうです。
個人的にはコロナ禍により経済活動が停滞してしまったのも結果に表れているのかなと考えています。何度かTwitter上ににツイートしましたが、端的な自家用車での移動が多くなったとは言え全体の交通量はむしろ減少していました。タクシーも半数以上が稼働自粛していましたからね。
しかし事故件数は減少しても事故1件あたりの規模は大きくなる傾向にあったので、2020年の死者数が増加していたのは私の読みが当たっている可能性が高いです。つまりより慎重に運転する姿勢が大切となります。
規模が大きくなる理由としては、運転や地理に慣れていない方による人身事故が発生しているからです。
※『交通事故による死者数』とは事故発生より24時間以内での死者数
桜田門の交差点には「きのうの交通事故」として交通事故発生件数が表示されています。
以下は交通人身事故の中身を分析したものです。
曜日別詳細
注目すべきは「木曜日」と「金曜日」
よく鉄道の人身事故は「休み明けの月曜日に発生しやすい」と言われていますが、道路交通においては全く当てはまらないとは言いませんが、着眼点は別になります。
出典資料:警視庁
今回の統計の死者数は「火曜日」が最も多いという結果ですが、注目すべきは『事故発生件数』で、「金曜日」「木曜日」が週の中でも特に多く人身事故が発生しています。
これはタクシーによる送迎やトラックなどの物流関係の動きが関係している思われます。東京都心では「木曜日」「金曜日」の特に夕方が最も混雑の激しい時間帯になるのですが、繁華街への送迎・搬送が集中する時間でもあります。
人が集まるところにクルマも集まりますので必然的に人身事故が発生しやすくなるというわけです。「負傷者数」と比較して「死者数」が少ないのは、混雑によりスピードがそれほど出ていないからです。だからといって直接タクシーやトラックが事故を起こしているわけではありません。
昼夜発生状況
日の出から日没までを『昼』、日没から日の出までを『夜』と定義されています。
負傷者は『昼』で死者数は『夜』
出典資料:警視庁
「発生件数」「負傷者数」は『昼』の方が圧倒的に多く発生しています。これは『夜』よりも『昼』の方が圧倒的に交通量が多いからです。人もクルマも例外ではありません。
一方で「死者数」は『夜』が若干上回っています。これは『夜』の方が視界が悪化してしまうことと車両の移動速度が『昼』を上回ってしまうためです。
当然、スピードが出ていれば死亡事故となってしまう可能性は高くなるでしょう。
年齢層別死者数/状態別死者数
交通弱者が最も多いという現実
交通事故によるダメージは高齢であるほど基本的には回復が難しくなります。当然の結果なのかもしれませんが『高齢の歩行者』が一番多く亡くなっています。
出典資料:警視庁
64名中実に18名が該当し、「歩行者」という括りで見ても33名と全体の半数以上を占めています。全国の警察が『歩行者妨害の摘発』に力を注いでいるのも納得せざるを得ません。
次いで「自転車」「自動二輪」と続いています。「クルマ」が全て悪いとは思いませんが、大きい車両は加害者とされる傾向があります。理想は歩行者も含めた行動を利用する全ての人が気を付ける事ですが、車両を運転する時は常に細心の注意が求められます。特に東京都心は交通量が多く道路形状も複雑です。
時間帯別発生状況
上記でもお伝えしている通り、「人」や「クルマ」が多くなれば人身事故の発生率は高くなります。それをデータ上で表しているのがこちらです。
人の移動・クルマの移動が事故件数と比例している
出典資料:警視庁
最も人とクルマの移動が盛んな時間帯が16時~18時…例えば『オフィスから繁華街への移動が最も激しい時間帯』と言えます。
日中の時間帯も事故発生件数は多くなっていますが、これはビジネスマンの移動や郊外では買い物などへ出かける人たちの移動が盛んになるからです。
通勤時間帯も決して発生件数が少ないわけではないですが、この時間帯の人やクルマの動きは『ルーチン化』しています。「死者数」が多い理由は時間に追われていることによる重大事故の発生ではないでしょうか。
事故を起こしてしまった時
もし事故を起こしてしまったら、相手がいる場合は救護義務が発生します。先ずは相手の容態を確認してください。変な話、ここで物損事故で済ませてくれるか人身事故になりさらに重たい行政処分を科されるかが決まると言っても過言ではありません。
第一当事者(加害者)となった場合は誠意をもって対応しましょう。しかし、その場でお金のやり取りをするのは絶対にやめてください。
もし被害者になってしまった場合は遠慮なく病院に行きましょう。私もお世話になった接骨院の先生に教わったのですが、事故から10年後に症状が現れることも珍しくはないそうです。
しかしその時には因果関係を証明することはできないので泣き寝入りとなります。事故発生後すぐに適切な治療を受けることをお勧めします。
人身事故と物損事故の境目は、病院で発行される診断書を所轄の警察署に提出するかしないかです。被害者が病院に行くこと自体は直接的な要因にはなりません。
死亡事故は全然話が変わってきます。
まとめ
いかがでしたでしょうか。こうして分析してみると「そんなの当たり前だよ!」と言われてしまうような結果なのかもしれませんが、それはつまり事故は当たり前のように防ぐこともできると言い換えることができます。
もちろん急病による不幸が元で発生してしまう事故もあるとは思いますが、もう片方が気を付けてあげることにより人身事故が単独事故で済む可能性もあります。急病も元をたどれば防げる急病もあるでしょう。公道を使って移動をする以上、誰もが事故を意識しながら移動することが大切だと思います。
とはいえ、いつもそんなことばっかり考えながらだと疲れてしまいます。たまに思い返す程度で構いません。
冒頭でお伝えしましたがこの統計は『人身事故の統計』になります。『物損事故は含まれていない』ということは、事故発生件数はこの統計結果よりもはるかに多いということです。そうですね…少なくとも数倍から10倍程度は多くなるのではないでしょうか