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EVが切り開く地方創生の可能性 日産の新型『アリア』が初公開

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いつもご覧くださりありがとうございます。溝口将太です。2020年7月15日、日産から衝撃的なクルマが発表されました。

日産自動車がフルEVでもありSUVでもある新型『アリア』を発表しました。新型リーフ以来約2年半もの間、普通車以上の新型車の投入はなく(『キックス』が2020年6月24日に発売開始をされましたが、世界的にはすでに2016年に登場しているモデル)、カルロス・ゴーン元会長の金融商品取引法違反容疑の一件もあり「やっちゃった日産」などと言われブランドイメージは低下していました。

最近の『キックス』発表時には「このままで、終われるか」と掲げられていましたが、新型『アリア』は起爆剤になりそうな予感です。

今回はEVが切り開く地方創生の可能性をメインテーマに置きながら、日産を応援する意味も込めてフルEV『アリア』を簡単にご紹介したいと思います。

日産のブランドロゴの刷新も同日に発表されました。

フルEVでありSUVでもある新型『アリア』

今でこそ電気自動車と言えば『テスラ』を思い浮かべる方も多いと思いますが、2010年に遡ると普通車サイズの量産型EVとしては世界初の日産『リーフ』が良くも悪くも大きな話題を集めました。

良い面というのは「走行中のCO2排出ゼロ」とする環境性能、悪い面では「実際の航続可能距離が150㎞にも満たない」という当時のインフラ問題と限定された使用環境化下における利便性でした。

そういえば『リーフ』をタクシーとして起用している事業者もありましたが、「本当にそれでいいのか?」と見かける度に思ったものです。

そんな『リーフ』が2017年に初のフルモデルチェンジを行った時のキャッチコピーが「ぶっちぎれ 技術の日産」でした。

新型『アリア』の外観・内装

世界初公開された新型『アリア』ですが、なぜ「フルEV」という言い方をされるのしょう。

私の勝手な予想ではありますが、それは「e-POWER」との混同を避けるためと思われます。

「e-POWER」は厳密には「シリーズ式」と呼ばれるハイブリッドカーの一種です。エンジンを発電機の役割を担わせクルマ自体はモーター駆動としているので「電気自動車」という立ち位置で日産はアピールをしています。

電動化路線で勝負をしていこう決めていた…ということですね。確かに『ノート e-POWER』はめちゃくちゃ売れています。

おそらく新型『アリア』は『リーフ』だけでなく「e-POWER」で培われた技術も惜しみなく投入されています。

それでは新型『アリア』の中身をざっくりと見てみましょう。

外観

画像出典:日産自動車

よくまとめられているクーペスタイルのSUVだと思います。 日産が得意とするスタイルですよね。灯火器の形状もいい感じです。

サイズは大きめ(後述)ですが、『リーフ』『エクストレイル』『スカイライン クロスオーバー』などを経てきたことを思わせてくれます。カッコイイです。

内装

画像出典:日産自動車

モノとモノの間にある空間や、連続するコトとコトの間の時間を意味する日本語の「間(ま)」をキーワードとしてデザインされたインテリア

引用:日産自動車

テスラのような最先端の未来感は正直感じませんが、既存のクルマからの乗り換えにはほぼ違和感なく運転・操作できそうです。

これはクルマを運転するドライバーを考える上でとても重要なことだと思います。

インパネに浮かび上がる操作パネルなど「おっ」と思わせるものも確かにありますが、水平基調のインパネを見るとあくまで主役はドライバーであることを感じさせます。

スペックと「e-4ORCE」

次にスペックを見てみたいと思います。

諸元表

画像出典:日産自動車

スペック

まずサイズに注目してみると、全長4,595 × 全幅1,850 × 全高1,655(mm)で日本国内での使用も意識していると思われます。

参考までにスバルの『レガシィ アウトバック』が全長4,820 × 全幅1,840 × 全高1,605(mm)です。

多少の慣れは必要かもしれませんが億劫になる程でもありません。

新型『アリア』には二つの駆動方式が設定され、さらにバッテリー性能で差別化が図られています。

つまり4グレードに分かれていることになります。

駆動方式は前輪駆動(2WD)と全輪駆動(AWD)です。

バッテリー容量は総電力量65kWh仕様と90kWh仕様で各々に適したモーター特性が与えられています。

2WD・65kWh仕様のスペックは『リーフ』をブラッシュアップしたような内容で、最高出力290kW(約218馬力)・最大トルク300Nmを発揮しますが車両重量も相まって誰にでも扱いやすいスペックに落ち着くのではないでしょうか。

e-4ORCE

ヤバイのは「e-4ORCE(フォース)」と名付けられたAWD仕様です。特にバッテリー性能90kWh仕様が最高出力290kW(約395馬力)・最大トルク600Nmというスペック。

これは前後に配置されている2基のモーターのシステム最高出力だと思いますが、スポーツセダンとして国産トップクラスのスペックを誇る『WRX S4』で最高出力221kW(300馬力)・最大トルク400Nmなので、ここでもEVの実力を感じることができます。

「日産 アリア」には日産の最も先進的な4輪制御技術「e-4ORCE」が搭載されます。

日産のエンジニアは、「日産 GT-R」のATTESA E-TS(電子制御トルクスプリット四輪駆動システム)や「日産 エクストレイル」のインテリジェント4x4システムなどから得た、駆動力制御とブレーキ制御、シャシー制御の効果を最大化するためのノウハウを持っています。そして、日産がEVと先進4輪駆動システムを開発してきた長い経験が、「e-4ORCE」をさらに確かなものとしています。

「e-4ORCE」は、前後に合計2基の電気モーターを搭載しています。それぞれのトルクを個別にコントロールすることが可能で、加速時のトラクション性能はもとより、減速時においても前後のモーターそれぞれで回生量を調整し、ブレーキ時のクルマの沈み込みを減少させるなどといった車体の揺れを抑える制御をおこないます。

「e-4ORCE」の前後のトルク配分は通常時は50:50ですが、路面状況や走行シーンに応じて0:100~100:0まで自動で最適な配分に変更します。また、減速時には前後モーターによる回生ブレーキと4輪の油圧ブレーキを組合せて制御することで、コーナリング性能を向上させます。こうした高度な制御は、特にコーナリング時に効果を発揮し、クルマの動きはドライバーのステアリング操作に忠実で、滑らかで心地よいドライビングを楽しむことができます。

参考引用:日産自動車

電動化の良さを最大限引き出せそうですね。

航続可能距離

主要諸元(日本仕様) Ariya (2WD) Ariya e-4ORCE (AWD)
65kWh 90kWh 65kWh 90kWh
バッテリー搭載車 バッテリー搭載車 バッテリー搭載車 バッテリー搭載車
航続距離(WLTCモードを前提とした社内測定値) 最大450km 最大610km 最大430km 最大580km

航続距離は『初代リーフ』と比較すると劇的な進化と言え、東京〜名古屋なら走れてしまいそうです。

「WLTCモード」なので実際の航続可能距離はカタログ値に近いと思います。

後述しますが、インフラ整備がさらに充実されればどこにでも気軽にドライブに出かけることができるでしょう。

自動運転やコネクティッドサービスは?

かつてない運転快適さへ。高速道路クルージングの“ハンズオフ”ドライブや、駐車スペーもしいプロパイロット リモー パーキングなど、最先端アシスト技術で、よりレベル自信提供します。

引用:日産自動車

2020年4月1日より改正道路交通法・改正道路運送車両法が施行されていますが、自動運転が可能なのは高速道路などに留まっています。

そのため、日産のホームページでも「自動運転」という表現は用いていないと見受けられます。

自動運転については以前のブログをご覧ください。

ついに自動運転の時代がやってきた!

おそらく運転支援システムの一機能として、「高速道路などでの自動運転が可能」みたいな宣伝がなされるのではないでしょうか。

日産 アリアは、12.3インチ大画面ディスプレイEV専用NissanConnectナビゲーションシステム装備

引用:日産自動車

コネクティッドサービスについては「SOSコール」を実装している実績もあります。インフォテインメントシステムとも合わせて充実したアクセサリーが期待できます。

例えば道路交通上のリアル情報のシェアも実現可能です。

価格・発売開始時期

一部情報では500万円程度から、発売開始時期は今のところ2021年中ごろとされています。

EVが切り開く地方創生の可能性

日産は「日産 アリア」の発売に備え、新たな充電インフラの整備を目指しています。同モデルの高いバッテリー性能に対応し、より短時間での充電を可能とする最大出力150kWのCHAdeMO急速充電器を、2021年度内に国内の公共性の高い場所に設置できるよう、パートナーとの調整を進めています。

引用:日産自動車

私が一番重要視しているのがここなのですが、そう遠くない未来に電気自動車は自家用車の中心的な立ち位置にまで成長すると思います。

しかしそれは現在で言うガソリンスタンドのようにある程度身近に充電スポットがあることが前提です。もちろん充電時間の短縮も一つの課題であり目標でしょう。

私が思うのは、郊外・地方へ出かけると大抵の施設には大きな駐車場があると認識しています。飲食店にも駐車場が完備されています。立ち寄れば30分~1時間程度は要するでしょう。その間に充電ができれば航続可能距離の問題はほとんど解決できます。

EVがまだ一部の人たちの間にしか広まっていない今こそが重要で、彼らが訪れてくれれば周囲に宣伝をしてくれます。

それは『テスラ』の広まり方を見れば明らかで、Twitter上には充電スポットまで投稿されています。

ただし地方側も相応の努力や協力は必要になると思います。知人と先日話していた時にこの話題になったのですが、個人が設備通しを行うには限界があります。

集客・収益化を前提としたプランを組み立て、自治体が補助金を交付するなど地域全体で取り組むことが大切だと思います。

「この地域は電気自動車の充電ができます!」みたいなアピールがあっても面白いかもしれませんね。それだけで誘致活動になるわけですが、充電スポットがある程度充実化されるとその効果も薄れるわけです。

まとめ

日産が国産勢における電気自動車開発では一歩リードしていたように見受けられますが、今後は充電スポットなどのインフラ整備、さらには街づくりにおいてもその名をアピールできるかもしれません。もしそうなれば、ここ近年でのイメージ悪化は完全に払拭できるでしょう。

今後の自動車開発の最重要課題とされる「CASE」をほぼ具現化した存在になれる可能性を新型『アリア』は秘めていると思います。

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