いつもご覧くださりありがとうございます。溝口将太です。
連日、東京都における新型コロナウイルス感染者数が100人を超えていますが、私が見る限りでは通勤時間帯の鉄道利用者数の密度は緊急事態宣言以前にほぼ戻っているという印象です。何度かお伝えしていますが、新型コロナウイルスの感染リスクを最も低く抑えて移動できる手段は自家用車だと思います。しかし全員が自家用車で移動できるかというと決してそうではありません。
最近、私鉄各社の座席指定(着席保証)の車両にはスマホなどの充電用コンセントが備え付けてられています。クロスシートタイプで速達性にも優れるので利用価値は非常に高いと言えますね。
そんな中、ある意味での変わり種が存在しています。
それは東京・品川(泉岳寺)・羽田空港~神奈川・横浜、横須賀、三浦半島などを結ぶ京急電鉄です。
今回はある意味での変わり種に乗り、『三密』による新型コロナ感染症対策と混雑緩和の可能性を探ってみたいと思います。
目次
品川~横浜を『京急の普通』で出発進行!
今回はあくまで一例ですが、鉄道での移動における新型コロナウイルス感染のリスクを最低限に抑えられる方法を模索したいと思います。
横浜~品川の基本的な所要時間
今回私が乗車したのは京急線 品川~横浜です。平日の通勤ラッシュ・帰宅ラッシュ時における基本的な所要時間は東海道線で約18分、京急快特で約25分程度です。
それを品川~横浜間で最も所要時間を要する『京急の普通』で向かうあたりイカれていると言われても仕方がありませんが、『三密』の象徴の一つとも言える通勤ラッシュ・帰宅ラッシュ時の新型コロナ感染症対策と快適な移動というテーマで挑んでみたいと思います。
京急 新1000形

画像出典:京急電鉄
2002年に登場した都営浅草線、京成線、北総線への乗り入れを考慮した車両です。
車内は扉間がバケットタイプのロングシートで、車端部は補助イス付きのクロスシートとなっています。
また、2100形と同様に海外製品を採用し、車両性能と居住性の向上を図りつつ、コスト低減も実現しました。
さらに、全出入口扉にドア開閉チャイムの設置や冷房装置にオゾン層破壊係数ゼロの新代替冷媒の新規採用など、バリアフリーや環境対策にも貢献しています。
<4両編成12本(48両)、8両編成9本(72両)>出典:京急電鉄
充電用コンセントが設けられているのは、現在の京急の顔とも言える『新1000形』車両です。2016年11月にマイナーチェンジということで、事実上他の私鉄各社に先駆けて充電用コンセントが取り付けられたことが話題になりました。
その後、他社ではライナー運用車両に充電用コンセントを標準装備させて運行していますが、京急ではオールクロスシートの『2100形』を含め特に目立った進捗はありません。この辺りも京急らしいと言えば京急らしいのかもしれません。
『普通』で充電しながら快適乗車
繰り返しお伝えしますが、乗車したそれは『快特』でも『ウィング号』でもありません。各駅に停車する『普通』です。

画像出典:京急電鉄 リンク先で行程の確認ができます
利用したのは平日の品川・18時19分発『普通』浦賀行き。通勤ラッシュの中、新型コロナ感染症対策かつ快適に作業を行えるかを確かめながらの移動です。品川駅ホームにやってきたのは車両両端のボックスシートにそれぞれ2口の充電用コンセントが備え付けられている『新1000形』車両です。
ターミナル駅らしくそれなりに混雑をしていましたが、多くの乗客が待っているのは『快特』や『特急』。ガラガラというわけではありませんが難なくボックスシートへ座れました。
『新1000形』のクロスシートは車端部に設けられている補助イス付きのボックスシートと呼ばれるタイプです。向き合って座るクロスシートということになります。足元のマナーは確かに考慮する必要はありますが、窮屈という程でもありません。京急はロングシートもふかふかで大変座り心地が良く、意外とボックスシートの奪い合いにはなりません。
充電を目当てに乗車する人もあまりいないのでしょう。積極的にボックスシートに座ろうとする乗客はほとんどいませんでした。
実際の作業場面はこのような感じ。周囲の迷惑にならないよう心掛けていますが、乗客も少なくほとんどストレスなくブログ作業を行っています。実際このブログのおよそ6割程度を車内で仕上げています。
横浜に到着したのは定刻通り19時16分。約60分要したということになりますが、途中何本に追い抜かれたのか全く覚えていません(笑)
車内の混雑状況を振り返ると、品川~平和島まではそれなりの乗車率、以降は京急川崎まで座席に余裕があり、京急川崎~神奈川新町までまた少し混んでいた…という印象です。それでも延々に座れないということはなかったです。
『各駅停車』に感染症対策&混雑緩和の可能性は?
乗車券のみで特急型車両を利用できるダイヤを一部では『乗得列車』と言われていますが、私鉄各社が運行するホームライナーも途中駅から着席整理券が不要、つまり乗車券のみで利用できることが多いです。
画像出典:京急電鉄 リンク先で時刻表などの確認ができます
京急の場合、平日の帰宅ラッシュ時にはホームライナーに相当する『イブニング・ウィング号』を運行していますが、上大岡から先は乗車券のみで利用できます(品川から乗車の場合は座席指定券(Wing Ticket)300円が別途必要です)。
これは上大岡で『イブニング・ウィング号』を降車する乗客が多いこと、上大岡から先は『快特』と同じ停車駅であるということ、そして上大岡から先の混雑緩和を図っていると言えます。
車両は京急の花形とも言える8両編成2ドアオールクロスシートの『2100形』です。日中は基本『快特』として乗車券のみで利用可能となっています。

有料特急並みの2100形の車内 画像出典:京急電鉄
極論を言いますと、京急の場合は『普通』の4両編成は2ドア車両の運行が中心でもいいのではないかとすら思いました。速達性&快適性のいい所取りは『イブニング・ウィング号』、乗車時間は要するが快適性には乗車券のみで応えられる『4両編成2ドア(オールクロスシート)』とすれば、メインの『快特』『特急』の混雑はある程度緩和されるのではないかと考えました。
当然そう単純な話ではないのでしょうが、2ドアクロスシートはともかく、ボックスシート&充電設備を備えた車両を大々的に『普通』に運用し、かつそれを宣伝すれば多少の効果はあるのではないでしょうか。
しかし、2ドアオールクロスシートの弱点は乗客の乗降に時間を要することです。もう昔の話ですが、JR東日本では主に東海道線『快速アクティー』に運用されていた215系電車が特にその性質を有していました。着席定員数は当時の他の通勤型車両の80%増しで人気は高かったものの、各駅における乗客の乗降時間が更なる遅れの原因として限界を迎え、いつの間にか『湘南ライナー』などの限られた運用のみとなりました。

現在は『ニートレイン』という愛称(?)のオール2階建て車両『215系』。かつては京急快特と熾烈な電車バトルを演じていました 画像出典:Wikipedia
京急の『普通』のみが停車する駅はお世辞にも大多数の乗客が乗り降りするわけではありません。検討の価値はあるのではないでしょうか。
ですので私の案をまとめると、
・乗車券のみで乗れる速達列車(私鉄各社における『特急』『急行』『快速』『準急』など)
・着席整理券を別途必要としたライナー(速達性・快適性の両立)に可能な限り『MaaS』の要素を追加
・車内設備をある程度充実化させた『各駅停車の乗得列車』
となります。この3タイプをバランスを考慮して運用できれば…新型コロナ感染症対策や混雑緩和の可能性はあるのではないでしょうか。
利用駅を軸としたパターンダイヤの設定
しかし、田園都市線のようなすでに車両の設備の差別化が難しい路線に上記の案は難しいです。当たり前ですが『各駅停車』と『急行』の混雑率の差は相当なものです。多くの利用者は目的地へ向かうために乗り換え回数が増えても優等列車を選択することがほとんどです。そして優等列車は主要駅の停車を重視しますので混雑率は自然と高くなります。
そこで『各駅停車』『急行』といった優劣による種別ではなく、停車駅数をある程度均一に分けてパターンを固定するダイヤ案を紹介しておきます。特徴的なのは主要駅とローカル駅との差別化がある程度見えなくなることです。
ざっと一例を仕上げたものですが、なんとなくイメージは伝わるかと思います。途中の優等列車による連絡待ちや通過待ちがなく、列車種別による選択ではなく利用駅を基準とした選択に促すことにより車内混雑の均一化を図ります。しかし速達性や利便性に難ありなのは間違いなく、以前からこの手のダイヤは検討されていたそうですが、正直言って現実的ではありません。鉄道よりも路線バスに設けられていそうなダイヤですね。
皮肉にも、首都圏で推し進められた各社による直通運転化が、ダイヤ設定の自由度と混雑緩和の調節を難しくしてしまったのです。もちろん便利ですけどね。
まとめ
いかがでしたでしょうか。最近のブログとはちょっと変わった内容をお届けしました。
通勤ラッシュ時間帯は早く(できれば快適に)目的地へ向かうことが求められていますが、当然ながら始発駅でさえも座ることは容易ではありません。座席指定サービスを利用すればある程度は解消できる課題でもあるのですが、お伝えしている通りこちらは追加でお金がかかります。
そんな時、京急のように乗車率が比較的低いダイヤに誘導できるようなサービス・設備があると混雑の均等化へも一石を投じれるのかもしれないと思いました。時間に余裕があれば京急の『普通』はオススメです。何より三密対策にもなるのではないでしょうか。
ちなみに、該当ダイヤの『普通』は品川~浦賀まで乗り通すと約2時間の乗車となります。