いつもご覧くださりありがとうございます。溝口将太です。
GWもUターンラッシュを迎え始めましたが、前半を振り返っても各地で交通事故や常軌を逸した危険運転が報じられるなど、一プロドライバー目線で見させてもらうと、大型連休時のドライブの在り方に課題は山積みだなという印象を拭い切れません。
一件の動画をご紹介しますが、みなさんはどう思われるでしょうか?
危険な幅寄せ行為(安全運転義務違反に該当)も目立ちます。さらにペットボトルと思われるものを投げつけています。完全に常軌を逸していますね。
ドライバーの方が取材に応じて「クラクションを鳴らすのをやめておけばよかったかな」と話しているのが印象的でした。
みなさんには引き続き余裕を持ったドライブを心がけてほしいと思います。
今回は危険なドライバーに遭遇したらどうするべきか、また防衛策についてもお話をしたいと思います。あくまで一意見ですのでご了承ください。
※2019年6月2日に再編集
煽り運転について
多くの方がご存知だと思いますが、煽り運転が社会的に大きな関心を寄せたのが2017年6月、東名高速で発生した煽り運転がきっかけとされる死傷事故でした。
世論の高まりもあり、2017年12月に警視庁より「事故にまで至らずとも、免許停止など適切な処分を行うように」と全国の警察署に対して通達を出しています。
実は道路交通法では将来的に事故を起こす可能性が高いとみられる者の免許を停止・取り消し処分ができるとされています。
道路交通法第103条第1項第8号
第103条 免許(仮免許を除く。以下第106条までにおいて同じ。)を受けた者が次の各号
のいずれかに該当することとなつたときは,その者が当該各号のいずれかに該当することと
なつた時におけるその者の住所地を管轄する公安委員会は,政令で定める基準に従い,その
者の免許を取り消し,又は6月を超えない範囲内で期間を定めて免許の効力を停止すること
ができる。八 前各号に掲げるもののほか,免許を受けた者が自動車等を運転することが著しく道路に
おける交通の危険を生じさせるおそれがあるとき。参考出展:e-Gov ※道路交通法第103条を一部抜粋
一応煽り運転とは何かをご紹介します。
あおり運転(煽り運転)とは、他の車に対する嫌がらせ運転のことです。
例として、以下の行為があおり運転に該当します。
・前方車両に対して、衝突するような距離まで車間詰め、道を譲るよう強要する。
・前方車両を猛スピードで追い回す。
・ハイビームやパッシング、クラクション、幅寄せ等の行為で他車を威嚇する。
以上のような脅し行為のほか、慰謝料などの賠償金を狙って故意に事故を起こす「当たり屋」も煽り運転と一括りにされています。
ドライバーが軽率にこのような行動を取ったことにより、煽られた車が事故に遭うことはもちろん、第三者が巻き込まれ二次災害となっているケースも多々見られています。参考出典:MOBY
いかがでしょうか?心当たりがある方はぜひご自身のドライブを見直してください。上記の他に側方からの危険な幅寄せ行為、前方に出て急ブレーキなどで威嚇行為、物を投げる行為なども煽り行為とされています。
後続車に追いつかれたら譲らないと違反になる
勘違いされやすいのですが、実は追い付かれた車両には追い付いた車両に道を譲るという義務が発生します。
道路交通法第27条
(他の車両に追いつかれた車両の義務)第二十七条 車両(道路運送法第九条第一項に規定する一般乗合旅客自動車運送事業者による同法第五条第一項第三号に規定する路線定期運行又は同法第三条第二号に掲げる特定旅客自動車運送事業の用に供する自動車(以下「乗合自動車」という。)及びトロリーバスを除く。)は、第二十二条第一項の規定に基づく政令で定める最高速度(以下この条において「最高速度」という。)が高い車両に追いつかれたときは、その追いついた車両が当該車両の追越しを終わるまで速度を増してはならない。最高速度が同じであるか又は低い車両に追いつかれ、かつ、その追いついた車両の速度よりもおそい速度で引き続き進行しようとするときも、同様とする。2 車両(乗合自動車及びトロリーバスを除く。)は、車両通行帯の設けられた道路を通行する場合を除き、最高速度が高い車両に追いつかれ、かつ、道路の中央(当該道路が一方通行となつているときは、当該道路の右側端。以下この項において同じ。)との間にその追いついた車両が通行するのに十分な余地がない場合においては、第十八条第一項の規定にかかわらず、できる限り道路の左側端に寄つてこれに進路を譲らなければならない。最高速度が同じであるか又は低い車両に追いつかれ、かつ、道路の中央との間にその追いついた車両が通行するのに十分な余地がない場合において、その追いついた車両の速度よりもおそい速度で引き続き進行しようとするときも、同様とする。(罰則 第百二十条第一項第二号)
参考出展:e-Gov
これらを簡単に言いますと、法定速度未満で走行している時に後続車に追い付かれた場合は、できる限り道路の左側に寄り後続車に進路を譲らなければならないということです。また、追い付いた車両が追い越すまで速度を増してはいけないということになります。
これに違反すると「追いつかれた車両の義務違反」として違反点数1点の加点と反則金7,000円(普通車)が科されます。
一例ですが、私が川越街道を走行中の場面です。
池袋方面へ走行中、1㎞少々先の山手通りを右折するために右側車線を走っていたのですが、前方に軽自動車が40㎞未満で走行していました。私が走行していた川越街道における該当区間は制限速度が60キロですので、この軽自動車は私に進路を譲る義務が発生してるということになります。譲られませんでしたが。。
ちなみに、左側車線での追い越しは禁止ですので、左車線へ移り抜かしたいのなら、前車とは十分な車間距離を取って左車線に移って追い抜く…つまり追い抜き扱いにする必要がありますので気を付けてください。その後、適切な車間距離で右車線に車線変更を行う分には問題ありません。
これも勘違いされやすいのですが、追い抜きと追い越しは該当車両を抜かすまでに発生する行為です。その後の進路変更によって生じる違反は幅寄せなどによる安全運転義務違反にあたりますので関係ありません。これは新宿警察署へ確認済みです。
さらに余談ですが、片側2車線以上ある一般道では追越車線は存在しません。しませんが、キープレフトの原則は存在します。
道路交通法第20条
第二十条 車両は、車両通行帯の設けられた道路においては、道路の左側端から数えて一番目の車両通行帯を通行しなければならない。ただし、自動車(小型特殊自動車及び道路標識等によつて指定された自動車を除く。)は、当該道路の左側部分(当該道路が一方通行となつているときは、当該道路)に三以上の車両通行帯が設けられているときは、政令で定めるところにより、その速度に応じ、その最も右側の車両通行帯以外の車両通行帯を通行することができる。2 車両は、車両通行帯の設けられた道路において、道路標識等により前項に規定する通行の区分と異なる通行の区分が指定されているときは、当該通行の区分に従い、当該車両通行帯を通行しなければならない。(罰則 第百二十条第一項第三号、同条第二項)3 車両は、追越しをするとき、第二十五条第一項若しくは第二項、第三十四条第一項から第五項まで若しくは第三十五条の二の規定により道路の左側端、中央若しくは右側端に寄るとき、第三十五条第一項の規定に従い通行するとき、第二十六条の二第三項の規定によりその通行している車両通行帯をそのまま通行するとき、第四十条第二項の規定により一時進路を譲るとき、又は道路の状況その他の事情によりやむを得ないときは、前二項の規定によらないことができる。この場合において、追越しをするときは、その通行している車両通行帯の直近の右側の車両通行帯を通行しなければならない。参考出展:e-Gov
現実的には一般道では右折するクルマも多数走行しています。全ての車両にキープレフトを強いるものならとんでもない渋滞を引き起こしてしまうでしょう。ですので原則キープレフトこそ設けられていますが、過度な取り締まりは行われていないというのが現状です。
また、首都高速などの都市高速も一般的には走行車線と追越車線の区別はしないとされています(警視庁へ電話確認済み)が、別の情報では例えば神奈川県警が管轄する首都高神奈川線では追越車線として認識している節があるそうです。首都高湾岸線もそういう面では確実に追越車線が無いとは言い切れないですね。湾岸線はオール片側3車線で出口もJCTも左車線からの流出ですので。
結局は譲った方がいい
煽り運転などの危険運転に遭遇した際、どうにかしてやろうという正義感が湧くのはわからないでもありません。しかし、無駄なトラブルに巻き込まれるのもドライブの思い出に泥を塗ってしまうことになるでしょう。
でしたら譲ってくださいな。案外これで煽り運転をするドライバーも自分の小ささを嘆くかもしれませんよ。これが私からみなさんにお伝えする防衛策です。
ただ自衛は必要です。ドライブレコーダーやバックカメラの設置、同乗者がいるのなら即110番通報など、備える事自体に意義はあると思います。そういう面でも以前このブログで紹介したヘルプネットの普及が進むことも願いたいと思います。
ヘルプネットについてはこちらをどうぞ
ライドシェアの安全性を確かなものへ 『ヘルプネット』のご紹介
一応ドライブレコーダー、バックカメラのご紹介もしておきます。
最後に
GWは家族や仲間との思い出が築きやすい時期だと思います。年に3回ある大型連休の中でもっとも過ごしやすい気候だからです。そんな中、煽り運転がきっかけでせっかくのドライブに泥を塗ってしまうような結果にはしてほしくありません。有意義な時間と思い出をぜひドライブからクリエイトしてほしいですね。
運転に慣れている方は、運転に不慣れな方を守ってあげるくらいの気持ちと余裕でドライブをお楽しみください。
