タクシー業界が抱える闇

2020年9月23日

いつもご覧くださりありがとうございます。溝口将太です。

こんなことを言ってはあまりいい気分にならないかもしれませんが、どの業界、業種にも闇は潜んでいる…そんなことは当たり前なのかもしれません。

今回はタクシー業界が抱える闇の一面をご紹介しましょう。なお、全て丸々が一つのタクシー会社に当てはまるわけではありまんが、部分部分では当てはまりすべて実在する内容です。



障害者割引の闇

移動において決して切り離すことができないのが障害を持たれている方の移動です。タクシーでは障害者割引を設けることにより障害者の移動を支援していますが、そのためにはご本人の写真入りの障害者手帳を乗務員に掲示する必要があります。


障害者割引の扱い

タクシーには障害者割引という割引制度があります。障割と言いますが、運賃に対しておよそ1割引扱いとなります。あくまで運賃に対してなので、迎車・予約・高速など、料金と呼ばれる部分に関しては適用されません。

およそというのは、運賃に0.9を掛けて10円未満を切り捨てることからおよそとしています。

例を見てみましょう。

運賃730円に対して障害者割引を適用…730×0.9=657…10円未満は切り捨てで650円…ということになります。

ここから闇の部分の話になるのですが、730円と650円の差額分、80円は誰が負担するのでしょうか?

もちろん国や自治体が負担することになっています。なっているのですが、乗務員の実績にどう反映させているのかは事業所によって分かれていると言われています。

通常、常識的な会社は障割適用後650円に対して実績は障割前の730円という扱いをします。つまり障害者割引を適用されても乗務員の収入には痛くも痒くもない…ということです。

ところが障害者割引の650円の方を実績扱いとし、実質的に乗務員の負担とさせている会社も存在しています。乗務員負担とさせておきながら国・自治体からの補填金を会社側に充ててしまうというかなり悪質な手段です。なお、乗務員負担額とした場合、給与に当てはめるとおよそ半額程度です。

こうなると乗務員の心境は穏やかではありません。決して庇えることではありませんが、そのような会社に勤めている乗務員は障害者に対して冷たい態度を取ってしまう傾向にあると言われています。


乗務員が搾取

逆に乗務員が搾取してしまうという例もあります。これは私も見たことがありますので紛れもない事実です。

今でこそ車内ドラレコの性能もしっかりしていますので証拠を掴むこともだいぶ容易になりましたが、少し前までは車内カメラなどオマケ程度のものでした。言ってしまえば障害者を乗せたかどうかも証拠がないのです。

そんな環境化でおこる搾取方法はこちら。

通常の運賃を頂き降りてもらった後、障割ボタンをして障割扱いにする…という単純な方法です。月に1度や2度程度じゃ確かにバレません。長距離でもまぁバレないでしょう。10,000円の運賃に対して1,000円ポケットに入れてしまうという行為なのですが、たぶんその時ではバレません。今でもバレない可能性の方が高いくらいです。

ところが私の知っているその者は月に数十件と障害者割引を適用させていました。理論上はありえるかもしれませんが現実的にはありえません。トータルで数十万円を搾取していたことがわかりました。流石におかしいと思う人が現れたわけです。

このように障害者割引一つ取っても不快な内容が浮かび上がってきます。



定額運賃の闇

東京23区及び武蔵野市・三鷹市では定額運賃が適用されているのをご存知でしょうか。

定額適用と言っても、どこへでも向けるというわけではなく、東京23区・武蔵野市・三鷹市⇔羽田空港・成田空港・東京ディズニーリゾートの相互運用です。

※一部エリア対象外も存在します。


定額運賃の扱い

今回は羽田空港の定額を例にお伝えしましょう。

参考:一般社団法人 東京ハイヤー・タクシー協会

定額運賃を適用させるためには1時間前に予約が必要など、ちょっとした条件はあるのですが、事実上の事前料金と言っても差し支えない扱いを行っているのが定額運賃です。

ハッキリ言ってこの運用はザルで、利用者目線では嬉しいことなのかもしれませんが、例えば江戸川区の7,000円。これは江戸川区と言っても広範囲に及ぶのに7,000円で統一してしまっているのです。通常10,000円程度かかる場所も7,000円で行けてしまうのです。

私の実体験ですが、羽田空港から江戸川駅にお送りしたことがありました。空港からの利用の場合は特に予約の必要はなく、目的地エリアに合わせた定額運賃が手動適用されます。手動というのは乗務員の認識とメーター操作が必要なことからこのように表現しています。

さて、私は江戸川駅に到着しました。メーター運賃は10,000円を超えていましたが、定額運賃が適用されるため支払額は7,000円+高速代。当然、私の実績としてのは数字は7,000円ですので、3,000円以上の営収(営業収入)を落としたことになります。この時点で実質的に乗務員が損をしていることがわかります。

どこの誰が主導で決めたのかはわかりません。利便性を追及するのもいいでしょう。しかしなぜ現場で働く乗務員がその尻ぬぐいをしなければならないのか…意味がわかりませんでした。差額分は会社なり社団法人なりが負担するべきではないでしょうか。

そしてこのお客様、最後に私にこう言いました。

「ここから京成線で船橋まで帰るんですよ」

こういう使い方をされるのが目に見えていたはずなんです。

さらに別の例として、狛江市の手前である世田谷区喜多見との境ギリギリでメーターを止め、定額運賃を支払い、別途メーターを入れて狛江市に帰る…こんな使われ方をされた乗務員もいました。

確かにタクシーの利用頻度で言えば空港やディズニーリゾートへの送迎は増えたと言えるでしょう。しかし乗務員一人一人の収入面にプラスされているのかと聞かれると…自信を持ってプラスになっているとは言えないのが現状です。


定額運賃の障害者割引の扱い

上の項目で障害者割引について説明していますが、定額運賃にも障害者割引が適用されます。詳細は定額一覧表をご覧ください。

例えば江戸川区の場合は通常7,000円(深夜割増時は8,400円)のところ、障割適用時は6,300円(深夜割増時は7,500円)となります。

ここまでは理解できるのですが、なぜか障割についてもまともな対応を取っていた会社ですら、通常時に障割対応を行った際の乗務員の営収は7,000円となるはずのものを、なぜか定額対応時は6,300円という扱いにされていました。当時は障害者割引に対応するシステムが追い付いていないというよくわからない理屈だったのですが、先日あるタクシーに乗車した際に伺ったところ、少なくともその会社は現状でも同じだということでした。

つまり定額対応時における障割負担分は、給与に反映される関係で全額とは言いませんが乗務員が負担していると言えるのです。こちらも単純計算で約半分くらいです。おかしいですね。



給与体系の闇

続いて最もいやらしい部分に触れたいと思います。私が以前お世話になった方、その筋の方ともパイプを持っているおもしろいおじいちゃんでしたが、「タクシーの給与システムを100%完璧に比較して説明できる者はいない」と教わりました。それだけいい加減というか根が深いというか…よくわからないということですね。1社に絞ればあるいは分析可能かもしれませんが、他社との比較となると難しいようです。


各種手数料の負担者

みなさんはカードで買い物をすることはあると思います。ご存知の方も多いと思いますがカードを扱っているお店はカード会社に手数料を支払うことで顧客のカード払い対応を可能としています。

手数料は業種により様々で、5%のお店もあれば1%程度のお店(主にコンビニなど)もあるそうです。

そしてこの手数料は顧客に支払いを求めてはいけないとされています。

さて、タクシー業界が手数料をどの程度支払っているかはわかりませんが、この手数料は誰が払っているのでしょうか?

まともな会社は会社負担としています。そもそも厚生労働省より乗務員に手数料を負担させてはいけないと指導通達があったのです。

これは支払い方法に関する手数料だけではありません。メーター機器や決済端末などの使用料も同様です。

しかし今でも乗務員が負担しているケースが存在します。おそらく一部負担だとは思いますが、私の知っている限りでは5%です。しかもクレジットカード払いだけではありません。簡単に言えば現金以外の支払い方法全てに対して5%搾取している会社もあります。

正直に言いますと、私が勤めていた事業所もそのような仕組みを以前は取っていました。未だにあるとすれば大手と言われる会社のグループ会社がまだ適用させている可能性があります。特にチケットに対して課している場合が多く、チケットは高額単価となりやすく徴収される額も月単位で見れば大きくなります。単純に20万円のチケット売り上げに対して1万円取られることになりますので…。

その代わりこのような会社は塁審歩合を設けている場合が多く、結局手元の入る給与はそれなりに悪くないので都合がいいと受け止める乗務員も存在するのです。


塁審歩合

あまり聞き慣れていない言葉だと思いますので簡単に説明しましょう。

累進歩合給制は、運賃収入等をその高低に応じて数階級に区分し、階級区分の上昇に応
じ逓増する歩率を運賃収入等に乗じて歩合給を算定する方式です

参考:厚生労働省

例えば月の売上が60万円の場合、給与に反映されるのは売上の60%だとしましょう。すると塁審歩合を採用している会社の給与計算が61万円なら61%、62万円なら62%、63万円なら63%…となります。

このように給与計算の元となる割合の値(歩率と言います)が段階的に上がっていくシステムを塁審歩合と言います。

私個人としては決して嫌いなシステムではありませんが、なぜ闇の部分という扱いなのでしょう。何が悪いのでしょうか?

それは旅客運送業の給与体系に用いるのがよくないですよと国は判断したからです。

理由は事故、違反などの増加が挙げられます。売上の締め日が近づくと少しでも歩率を高めようと頑張っちゃう乗務員が多かったのです。それが事故、違反、会社ごとに設けている決まりに違背してしまうことに繋がっていました。残念ながらここにメスを入れられたという背景があります。

しかし中小のタクシー会社は未だに塁審歩合を設けていると聞きます。これは人の確保には欠かせないという判断なのでしょう。決まりに関しても若干甘い部分はありますのでちょっと無茶を利かせてしまうドライバーも少なからず存在するようです。



結局何が言いたいのか

私が把握していることだけでもこのような闇が隠されています。

ハッキリ言っておかしいことだらけなんですね。そんな業界からライドシェアがどうとか言われたくないというのが本音でもありますし、タクシー会社に運行管理を委託するなど信用ならないと考えています。

しかしタクシーも歴史が深く、今すぐ全てを正すことなどほぼ不可能だと思います。何より東京特別区(23区及び武蔵野市・三鷹市)だけでも200を超える会社が存在しているのです。そしてそれぞれに決まったルールや給与体系もあるでしょう。それぞれに沿った運行管理体制もあるはずです。

ライドシェアの解禁はとりあえず交通の便に難ありの地域からという流れですが、ビジネスの観点から見れば絶対東京から始めるべきです。その時、もし東京から始めるにしても、やはりタクシー会社を間に介するべきではないというのが現時点での私の見解です。