JR羽田空港アクセス線、ついに計画着手へ

2020年9月25日

いつもご覧くださりありがとうございます。溝口将太です。

今回は以前から噂されていたJR東日本が計画する羽田空港アクセス線について大きな動きが報じられたのでお知らせします。



羽田空港アクセス線計画の経緯

現在、羽田空港から東京都心へ向かう鉄道ルートは大きく分けて2路線存在します。

①羽田空港から京急線を利用、品川からJR線に乗り換え、または都営浅草線への直通運転

②羽田空港から東京モノレールを利用して浜松町からJR線へ乗り換え、または大門から都営地下鉄線へ乗り換え

ちなみに高速利用の場合は、

①首都高湾岸線・空港中央より東京都心方面

②首都高1号羽田線・空港西(あるいは羽田)より東京都心方面

となっており、今後増々発着便が増加する羽田空港にとっては、アクセス利便性こそはそれなりを形成していますが、輸送力に限界を感じている面もあります。

贅沢な悩みだと言われるかもしれませんが、上記の通り鉄道網に関しては東京は南の玄関口であり副都心駅でもある品川には京急線1本で行けるものの、他の都心・副都心駅である東京・上野・渋谷・新宿・池袋へは乗り換えが必要です。

品川は京急とJR東日本(品川はJR東海もあり)との乗り換えは専用改札が設けられているのでそれほど不便ではありませんが、浜松町は東京モノレールとJR線への乗り換えは少々不便です。

しかも渋谷・新宿・池袋方面からの羽田空港方面の乗客は、京急嫌いでもない限り品川で京急に乗り換えるなど、まさに敵に塩を送っている状態がしばらく続いているのです。

東京モノレールは2002年にJR東日本の傘下へ入りました。その証拠にJRの路線案内図ではちゃっかり東京モノレールが明記されているのですが、路線ネットワークとしてはイマイチ活かしきれていない印象です。

参考:JR東日本東京近郊路線案内図

もちろん港区や中央区などにお住いの方が、タクシーで浜松町へ向かうことを思えば東京モノレールも十分活躍していると言えます。

そこでJR東日本は、羽田空港国内線新駅を設け、東京貨物ターミナルへのアクセス新線を新設。横浜方面からの東海道貨物線と合流・経由して新宿方面・新木場方面・東京方面…という3ルートを計画しました。将来的には羽田空港国際線新駅への延伸も検討としています。



羽田空港アクセス線の詳細

画像出典:日本経済新聞

JR東日本の深沢祐二社長は15日、羽田空港と東京都心を結ぶ新路線「羽田空港アクセス線」について、5~6月に、東京駅方面とつなぐ「東山手ルート」の環境影響評価に着手すると発表した。2029年度の開業を目指す。開通すれば、羽田空港と東京駅を約18分で結び、従来よりも約10分短くなる。

中略

JR東は新宿駅方面とつなぐ「西山手ルート」、新木場方面とつなぐ「臨海部ルート」の計3ルートを計画している。

出典:日本経済新聞

上記がほぼ詳細になるのですが、東京方面に向かうのが「東山手ルート」・新宿方面に向かうのが「西山手ルート」・新木場方面に向かうのが「臨海部ルート」となります。しかし個人的には以下のような疑問が生じます。


疑問① 運賃計算はどうなる?

京急線・羽田空港国内線ターミナル~品川へは切符運賃410円(※)ですが、これは建設費の回収という建前で割増し運賃が適用されています。

東京モノレールでも羽田空港第1ビル・第2ビル~浜松町まで切符運賃490円です。決して安いとは言えませんが、おそらく羽田空港アクセス線も両運賃をベンチマークとするでしょう。

しかし上記画像をご覧頂くと、西山手ルートはりんかい線を経由していることがわかります。りんかい線は別会社となるので別途運賃が発生するのですが、西山手ルート上の大崎から先はJR埼京線・湘南新宿ラインです。つまりJR線⇒りんかい線⇒JR線という図式が出来上がるのですが、これに対してどのような運賃を設けるのかが現時点ではわかりません。

似たような例としてJR中央線~東京メトロ東西線~JR総武線がありますが、実は東京メトロ経由の方が運賃が安いのです。

臨海部ルートもりんかい線で、終点の新木場からは改札の移動こそ発生しますがその先は京葉線です。一部でりんかい線と京葉線の直通運転を働きかけている動き(参考記事:東京新聞)がありますが、確かに房総方面や舞浜(東京ディズニーリゾート)の存在は無視できないでしょう。特に土日祝日の首都高湾岸線・葛西近辺の混雑は気の毒な程です。


※2019年2月20日追記…消費税率が現行のままなら、2019年10月1日より品川~羽田空港は切符運賃290円に改訂されます。

参考:京急線、加算運賃の引下げ実施に関するお知らせ


疑問② 車両編成は?

東京方面の東山手ルートに注目ですが、接続先は東海道線(上野東京ライン)です。これは宇都宮線・高崎線・常磐線方面からも羽田空港行きの列車を運行可能とすることが読み取れます。逆も然りです。

上野東京ライン(東海道線・宇都宮線・高崎線・常磐線を便宜上まとめます)では長い15両編成と短い10両編成での運行を行っていますが、長い15両編成で羽田空港へ直通させるのでしょうか?

ここで西山手ルートと臨海部ルートに目線を移して頂きたいのですが、りんかい線と埼京線は相互直通運転を行っており、2004年からは全列車10両編成での運行を行っています。

さらに新木場より先の京葉線も10両編成で運行されています。

以上のことから勝手な推測ではありますが、建設費等を考慮すると羽田空港アクセス線は10両編成の運行を前提とし、常磐線方面からは特急ひたち・ときわの延長、宇都宮線・高崎線からは新たな特急(羽田エクスプレス?)の設定で利便性をアピールさせるものと推測します。


疑問③ 運行形態は?

こちらは疑問よりも勝手な憶測がメインですが、東山手ルートは上野東京ラインから宇都宮線・高崎線・常磐線各方面への列車を運行し、西山手ルートは埼京線(終着は川越)方面への列車を運行すると予想しています。

理由は渋谷・新宿・池袋方面は相鉄線方面からの直通列車(参考:鉄道ニュース週報)が運行されるからです。羽田空港アクセス線から湘南新宿ラインへ割く余裕はないでしょう。何より上野東京ラインの方が大宮方面への所要時間は短めです。とすれば川越方面からの羽田空港行きを設けることで、大宮での利用客をある程度分散させることが可能です。

臨海部ルートは京葉線との直通で羽田空港~ディズニーリゾート間のアクセスを向上させるメリットは大いにありそうです。



まとめ

実は今回のブログに登場したほとんどの地名からは羽田空港行きの高速バスが運行されています。それだけではなく、各主要ホテル・バスターミナルからも羽田空港行きの高速バスが運行されるなど、一般道・首都高速にも渋滞など大きな影響が生じているのも事実です。

ここで羽田空港アクセス線の運行が実現されれば遠方からの利用者はJRに移る可能性が高く、道路交通網に多少のゆとりが生まれるでしょう。もちろんそこには競争となってしまう部分もあるのですが、それぞれのメリットやサービスを活かした選択肢が増えることは大いに歓迎したいところです。

特に東京・上野・渋谷・新宿・池袋・各郊外へ乗り換えなしで羽田空港を行き来できることは大きなアピールポイントとなりそうです。

移動手段が増えてしまうと何をどう検索すればよいかわからなくなってしまう人も多いと思いますが、その時々の予算や都合、気分で最適な移動手段の提案を示してくれるのもそう先ではないでしょう。