私鉄各社の『移動』に対する取り組み ~京急線~

2020年9月25日

いつもご覧くださりありがとうございます。

最近は私鉄の『移動』に対する取り組みも追いかけているのですが、その第二弾は京浜急行(京急線)です。



京急ウィング号に乗車

京急ウィング号

画像出典:京急電鉄

京急と言えばJR東日本との電車バトルでも有名で、東京・品川~神奈川・横浜、三浦半島方面への熾烈な競争を展開しています。

それは速度だけでなくサービス面でも言えることで、通勤ライナーとしての歴史は意外と古いところまで遡ります。

JRで言うホームライナー(東海道線における湘南ライナー)に当たるのが京急ウィング号で、平日の帰宅ラッシュ時の着席保証サービスとして1992年4月16日に運行を開始しました。

当時すでに京急には伝統の2ドアクロスシート車が運用されていたので、指定席制度こそなかったものの、着席保証という形での運用は200円の追加料金(現在は300円)で利用できるなど大変需要の高いものでした。

今回私は品川駅から上大岡まで利用しました。以前は専用の券売機で着席整理券(現在はWing Ticketと言う)を購入する必要があったのですが、今は便利な世の中で、アプリを用いてカード決済が可能です。つまりいつでもどこでもWing Ticketを購入できるのです。ちなみに2017年5月1日から座席指定制へと変更されるなど進化を続けています。

品川駅3番線に停車するウイング号。4号車後ろドア、8号車後ろドアのところで駅員さんにQRコードを読み込んで頂き車内へ入ります。

画像出典:京急電鉄

車内はこのような感じ。ウィング号は今でも京急の花形として大人気の2100形で運行されています。

周囲を見渡すとみなさん帰宅のお供を連れていました。ビールだったりコーヒーだったりパソコンだったり本だったり…なるほど、満員電車では味わえないですよね。

私も欲が刺激されたのか、一度車内を出て品川駅構内のセブンイレブンでコーヒーを購入してきました。京急も商売上手になりましたね(笑)

この時点で一つの価値を見い出せましたが、本領はここから。品川を出ると次の停車駅は上大岡となっています。つまり快特の停車駅である京急蒲田、京急川崎、横浜は通過ということになります。

おそらく遠近分離でしょう。京急線では最も利用者数の多い横浜駅を通過させることにより、前後に走る快特・特急の利用者の混雑緩和を図っていると見られます。

またJRのライナー料金は510円ですが、ウィング号も値上がりしたとはいえそれでも200円以上安いのですからその価値は圧倒的です。当然JRのグリーン車よりも安いです。

さらに京急は元々の鉄道会社としての信頼も厚いので、上大岡以南の沿線価値を大いに高めているのではないでしょうか。私は幼少期を金沢区で過ごしていたので、懐かしくもちょっと羨ましいと感じました。


いよいよ出発進行

そんな思いに更けていると、特にアナウンスは無いまま私を乗せるウィング号は動き出しました。直後の車内放送も実に簡単なもので、これは利用者に対する気配りだということをすぐに実感しました。「客もプロ」と呼ばれる京急ですが、お客さんとの間に確かな絆が存在しているようです。

電車は北品川を過ぎるとぐんぐん加速。帰宅ラッシュの時間帯は過密ダイヤなのか自慢の120㎞走行こそありませんでしたが、推定110㎞前後で京急蒲田を通過する様は爽快でした。

雑色からは速度を落とし、京急川崎は比較的低い速度で通過、京急鶴見近辺で多少速度を上げるも横浜手前で停止寸前。そのまま低速で横浜を通過。その後は速度を行ったり来たりで上大岡には品川から約30分程で到着。一本前を走る快特と所要時間はほとんど変わりません。

これは京急線のほとんどが複線であることが理由として挙げられます。前の電車を追い抜かす場所が限られているのです。しかし労働人口の減少を危惧する社会、京急が複々線化することはないと思います。

私は上大岡で降りましたが、上大岡から先は快特として運行(表示種別はあくまでウィング号)、指定席券無しで乗車できます。そういえば上大岡でドアが開いた瞬間、ボックスシートから空いているクロスシートに移る強者もいました。これがプロか…。

上大岡で降りてせっかくなので食事を済ませ、また京急で東京方面に戻りました(笑)


朝のウィング号も存在

2015年12月7日より品川方面に向かうウイング号が設定されました。正式名称は『モーニング・ウィング号』で、マニアックですが『京急ウィング号』とは別の種別扱いだそうです。そもそも京急ウイング号自体が快特の一種という扱いです。

別車種らしく停車駅も異なりますが、運行時間にかなりクセがあります。

モーニング・ウィング号は現在2本運行されており、1号は品川行き、2号は泉岳寺行きとなります。始発駅はどちらも三浦海岸です。

京急ウイング号と別車種というだけあり、停車駅の少なさも随一です。

三浦海岸から先は横須賀中央、金沢文庫、上大岡、品川、2号はさらに泉岳寺の停車です。三浦海岸から上大岡は乗車専用駅、品川と泉岳寺は降車専用駅となっています。なお、2号に関しては品川から泉岳寺まで切符のみで乗車することができます。

クセのある運行時間ですが、1号は三浦海岸 6時9分発 ⇒ 品川 7時28分着、2号は三浦海岸 7時56分発 ⇒ 品川 9時19分着(泉岳寺9時22分着)と偏りを見せています。

少々見ずらいかもしれませんが、それでも1号の上大岡利用分(6時53分発)は直近で見ても完売状態です。

しかも毎日モーニング・ウィング号を利用する人のために『Wing Pass』という毎月1日から末日まで有効の1ヶ月券をウェブサイト(KQuickというアプリを使用)で販売しています(5,500円)。

画像をクリックで詳細へリンクできます 画像出典:京急電鉄

なお、発売当時は窓口販売だったため、整理券をもらうために寝袋持参で徹夜で並ぶ人がいたとか…。

いずれにしろ、朝の通勤電車で着席が保障されていることに対するニーズの高さと価値観が伺えます。ウイング号の歴史を見ても長年待ち望んだ人も多いでしょう。移動中にメールチェックや簡単な作業なら車内でこなせますからね。

一方で運行時間を見ると「9時から始業の会社にはミスマッチだ」という声が聞こえてきそうですが、働き方を見直すきっかけとも受け取ることが出来そうです。

それでもダイヤ上難しいのでしょうが、通勤ラッシュが一番激しい時間帯にもう1,2本モーニング・ウィング号が設定されていてもよいのではないかと思います。それは前述の通り混雑緩和のためです。

しかし金沢文庫で4両増結されるなど、混雑緩和対策に取り組んでいるのは間違いありません。余談ですが4両増結状態は12両編成となり、その両数は私鉄最長編成を誇ります。


休日にもウィング号の実績がある

画像出典:京急電鉄

休日にもウィング号があれば良いのになぁと思ったのですが、なんと過去に休日版ウィング号の設定がありました。

・2018年9月22日(土)、23日(日)、24日(月・祝)
・2018年10月6日(土)、7日(日)、8日(月・祝)

計6日間、『ホリデー・ウィング号』として運用されていました。車両は当然2100形です。当日は着席整理券を300円で販売、事前販売券として『みさきまぐろきっぷ』とセットになった座席指定券として販売されるなど、京急も観光に力を入れてきた印象です。

画像をクリックで詳細へリンクできます 画像出典:京急電鉄

運行ダイヤは、品川 8時59分発 ⇒ 横浜 9時18分発 ⇒ 三浦海岸 10時7分着 です。

品川と横浜は乗車専用、三浦海岸は降車専用駅です。

画像出典:京急電鉄

さらにこれとは別に、同日の品川を8時8分発・8時28分発の快特 三崎口行きの前から2両目のみを座席指定(300円)とする『ウィング・シート車』の発売など、新たな試みも行われました。利用可能駅は京急川崎と横浜です。


まとめ

京急には小田急や西武のような有料特急車両が存在しません。逆に言えば快特は追加料金無しで有料特急並みのシート、速度を実現している車両を走らせるなど際立った特徴を持っている鉄道会社と言えるのですが、それはJR東日本との熾烈なバトル環境に置かれているからこそ生まれた移動の価値と断言できます。他社では真似できないでしょうし真似する必要もありません。

特に私が知る限りではWing Passのような通勤ライナー版定期券とも言える存在を知りません。ましてや東京に向かう大手私鉄の中となると間違いなく皆無でしょう。

そんな京急も今後の在り方を探っていることがわかる時間でした。

このような座席指定システムはMaaSに組み込まれるサービスの一つとして今後も機能するでしょう。そのためには鉄道各社も乗客も、座席指定システムを体験しておく必要はあると思います。

民家が迫っている路地裏を、120㎞で飛ばす電車など他に見たことも聞いたこともありません(笑)

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